この時、台風の中心気圧は935hPa、最大風速46m/sであり、この台風も大型で勢力が非常に強い台風である。
TOPEX/Poseidon衛星はこの時、台風の進行方向と反対向きに、北北西から南南東に向かって、台風の中心を通過し、波高を観測した。この例は、台風の進行方向に沿う断面内の波高分布を示す。この図によると、波高は中心から約100km離れた海域で最も高く(約8m)、台風中心域で小さく約6mの波高を示す。また、進行方向に沿う波高の分布は、中心後方より中心前方において波高が高い傾向を示している。
次に、これら台風時の観測事例を数多く集めて、以下の1]〜5]の種類別に台風域内の波高分布を作成し、その特性を解析した。
1] 階級なし(全データ)
2] 勢力の強い台風(中心示度850〜979hPa)
3] 勢力の弱い台風(中心示度980〜1040hPa)
4] 移動が遅い台風(18km/h以下)
5] 移動が速い台風(19km/h以上)
解析結果を図3.3〜3.7と図3.8に示す。図3.3〜3.7の上図はKu band(13.6GHz)、下図はC band(5.3GHz)による台風域内の波高の分布図である。図からわかるように、両者には大きな差異は見られない。ここで、有義波高を最小0〜1mから1m刻みで、最大9m以上の10階級の色で示している。
図3.8は台風域内の波高の断面図を表す。ここで前方とは台風の進行方向であり、各方位の波高は、自分と両側方位を含む3方位の平均値である。
巻末資料には統計に用いたデータサンプル数を掲載する。これによると、台風中心域ではサンプル数は少なく統計値の代表性が小さいが、中心から100km以上離れた領域ではサンプル数は多く存在し、統計値の代表性が高いと言える。
以下に、図3.3〜3.7と図3.8を参考にした、1]全台風、2]勢力の強い台風、3]勢力の弱い台風、4]進行速度が小さい台風、5]進行速度が大きい台風の波高分布の特徴を述べる。
1] 全台風(台風階級なし)図3.3と図3.8によると、次の波高分布特性が明らかになる。
・波高は台風中心で最も大きく、外側に向かって減少する分布を示す。