日本財団 図書館


6 太陽活動に対する気候シグナル

 

本節においては、海上気温データを用いて11年周期の太陽活動に対する気候の応答の検出を試みた。GCM(General Circulation Model)による気候の数値シミュレーションによると、温室効果ガスの増加に対する地上気温の応答は、北半球における高緯度で最も早くかつ大きい(e.g. Manabe et al.,1991)これに対して、Cubasch et al.(1997)の数値シミュレーション結果によると、11年周期の太陽活動の外部強制力に対する海上気温の応答は、低緯度において大きく、高緯度においては顕著でない。ここでは、以上のような数値シミュレーションの結果を確認するためのデータ解析を試みた。

063-1.gif

図4 緯度幅20°の3つの帯状海域、30°N-50°N(ZONE1)、10°N-30°N(ZONE2)、10°S-10°N(ZONE3)それぞれにおける海上気温の平年偏差の時系列。平年値は1961年〜1990年の30年平均値。61ヶ月移動平均値の95%信頼限界(ハッチ部分)を示す。各図の細線はSolanki and Fligge(1998)から引用した太陽定数の変化を示す。解析に使用した緯度・経度10°BOXの数およびその気候ノイズを併せて掲載した。

 

図4に、緯度幅20°の3つの帯状海域における気温の61ヶ月移動平均値の95%信頼限界を示した。ここでは1950年〜1995年における緯度・経度10°のBOXデータを用いた。また、各図の細線はSolanki and Fligge(1998)から引用した太陽定数を示している。

太陽定数はほぼ11年周期で変動しており、ZONE2およびZONE3の低緯度帯における平均気温もそれに同調するように変動している。その上、1970年代後半に太陽定数が約0.05%増加すると、同じ時期に低緯度帯の気温にも0.2〜0.3℃の有意な上昇が認められた。

 

063-2.gif

表2 帯状域について平均化した年平均気温と太陽定数のラグ相関係数。相関係数は95%の信頼限界を示した。0〜6年のラグ相関係数がすべて0.00を含んでいる30°N-50°Nの高緯度帯状域では双方の間に有意な相関関係はない。

 

表2に太陽定数と海上気温の相関係数の95%信頼限界を示した。低緯度帯においては双方の間に統計的に有意な相関関係が見出せる。特に、南緯10°〜北緯10°の低緯度帯状海域においては、0〜2年のラグ相関係数の95%信頼限界値が0.5を上回っていることより、双方の間に高い相関関係があると考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION