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更に、図5には太陽活動のピークを基準とした太陽定数と各帯状域のおける気温偏差それぞれについての合成値の時系列を示した。南緯10°〜北緯10°および北緯10°〜北緯30°の低緯度帯状域では、海上気温のピークは太陽定数のピークより2年遅れて出現している。一方で、北緯30°〜北緯50°の高緯度帯状域では、双方の間に有意な相関は認められない。この結果は、定性的にはCubasch et al.(1997)によるシュミレーションの結果と一致している。

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図5 太陽活動のピークを基準とした太陽定数と各帯状域のおける気温偏差それぞれについての合成値の時系列。

 

7 結論

 

海上気温の月および年平均値の気候ノイズは陸上気温の気候ノイズと比較して決して大きくはない。したがって、船舶による個々の海上観測データの品質は陸上観測データに比較して劣るにも関わらず、その時間および空間平均値は比較的高品質であり、温室効果ガスや太陽活動などの外部強制力に対する気候シグナルを検出する「気候診断」を行う際には有利であると言える。

低緯度における海上気温は11年周期の太陽活動の外部強制力に対して有意に応答していると思われる。しかしながらそれに対する高緯度における気温の応答は認められない。この事実はCubasch et al.(1997)によるGCMを用いた数値シミュレーション結果を部分的に証明していると考えられる。また、Manabe et al.(1991)の結果を併せて考慮すると、温室効果ガスと太陽活動の外部強制力に対する気候システムの応答は、それぞれ高緯度、低緯度に顕著に現れやすいという相反する特徴を持っていると考えられる。

 

参考文献

 

Cubasch,U.,R.Voss,G.C.Hegerl,J.Waszkewitz,T.J.Crowley.(1997): Simulation of the influence of solar radiation variations on the global climate with an ocean-atmosphere general circulation model,Climate Dynamics,13,757-767.

Folland,C.K.,D.E.Parker,F.E.Kates(1984):World wide marine temperature fluctuations 1956-1981,Nature,310,670-673.

Gandin,L.S.(1963):Objective analysis of Meteorological Fields,Israel Program of Sci.Transl.,pp.242.

Manabe,S.,R.J.Stouffer,M.J.Spelman,K.Bryan(1991):Transient Response of a Coupled Ocean-Atmosphere Model to Gradual Changes of Atmosphere CO2.Part1:Annual Mean Response,J.Climate,4,785-818.

Roll,H.U.(1965):Physics of the Marine Atmosphere,Academic Press,pp.426.

Solanki,S.K.,M.Fligge(1998):Solar irradiance since 1874 revisited,Geophys.Res.Lett.,25,341-344.

Yamamoto,R.,M.Hoshiai(1979):Recent change of the northern hemisphere mean surface air temperature estimated by optimum interpolation,Mon.Wea.Rev.,107,1238-1244.

 

 

 

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