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2 海上気温データ

 

ここで扱う船舶海上気象観測データは、緯度・経度2°またはそれ以上の四角形の海域内における日々のデータを統計した月及び年統計値、いわゆる「BOXデータ」である。BOXデータには以下に示す系統的誤差と不規則誤差が含まれている。先述したように、気候変動の研究においてはそれらの誤差の評価は不可欠である。

BOXデータに介在する系統的誤差は、観測方法や観測高度等の変化に原因がある。Folland et al.(1984)はBOXデータの系統的誤差の評価を行っている。彼らによると、1950年代以降における海上気温には、統計的に有意な系統的誤差は認められない。その上、系統的誤差は長期的に緩やかに変動するため、20年間あるいはそれ未満の期間に限ってデータ解析を行う場合には、その影響を無視できる。一方で、BOXデータに含まれる不規則誤差は、BOX内あるいは平均化期間内における空間的、時間的に非一様なデータサンプリングに起因している。すなわち、不規則誤差は、空間的な気温傾度が大きい海域あるいは季節的な変化が激しい時期において、その値が大きくなる性質を持っている。

 

3 気候ノイズの算定法

気温の月あるいは年平均値に介在する不規則誤差は、構造関数を利用して算定できる(Gandin,1963、Yamamoto et al.,1979)。気温のBOXデータをT(t)とすると、系統的誤差が無視できる場合にはT(t)は(1)式のように表される。

T(t)=TM(t)+ε(t)  (1)

ここで、TM(t)は気候シグナルであり、比較的時間スケールの長い組織的に変化する成分である。また、ε(t)は不規則誤差である。特定BOXの時系列データにおいて、時間差△tに対する構造関数S(△t)は、

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と表される。ここで、 ̄は時間tに関する平均値を示している。(1)式を(2)式に代入すると、次の(3)式が得られる。

 

 

 

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