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近年、海洋教育に関する文献(中谷1998、塚本ら1998、野崎ら2000)が刊行されるようになった。日本における海洋教育の詳細な歴史(中谷1998)、海洋学の教育の現状や指導体制の問題点の指摘(塚本ら1998)大学や学界レベルでの個別的、目的的な海洋教育の充実の要請(野崎ら2000)が記されており、従来の海洋教育への関心が低い状態から大きく前進したことは大きく評価できる。しかしながら、海洋科学全般についての俯瞰的な視点がないために、個々の分野からの単発的な希望が多くなっている。岸・間々田(2000)、花輪(2000)においては、海洋学の専門知識の一般社会や学校教育へのブレイクダウンの必要性が指摘され、貴重な意見となっている。これらの意見も、海洋に関する諸分野も視点にいれ、かつ、全体教育・学習との関連で拡大的に整理されることが望ましいと考えられる。

謝辞

なお、本研究にあたっては、赤見朋晃氏(東京大学教養学部広域科学科)・和田理恵氏(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学科)の多大なるご協力を得た。ここに記して感謝申し上げる。

 

イ 国外例

 

分野整理・立体目次の視点からみる海外の海洋教育─アメリカ合衆国における特徴的数例をもとにして─

 

I. 調査研究の目的

日本国内の海洋教育の現状を大学教育カリキュラムのデータから把握し、特徴と問題点を描出し、今後の在り方を考える調査研究を行った。そのなかで、日本の特徴を浮かび上がらせるためにも、海外の特徴的な数例を取り上げ、そことの比較において日本の現状を検討する方法が必要と思われた。本稿では、アメリカ合衆国において多くの研究者を輩出している教育機関のカリキュラムをもとに、考察を行う。

 

II. 海外の教育機関における海洋教育に関する立体目次の作成

国内の海洋教育のプログラムについては、日本科学協会のプロジェクトで立体目次を活用した解析を行った。まず、平成10年度に国内で海洋教育を実践している大学の教育カリキュラムのデータから立体目次を作成した。

 

 

 

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