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また、この様な問題に対処する過程で恣意性も強くなってしまうため、最終的には本研究では科目をまとめるという作業は排除し、数は多いが全科目をそのまま扱うこととした。

しかし、類似した科目をまとめるという作業の際に、科目名の階層構造の存在が示唆されたことは重要な意味を持つ。例えば、実際に全科目リストには「海洋微生物生態学」という授業科目がある。これは3つの情報(つまり「海洋」、「微生物」、「生態学」)を含んでおり、包含関係上は「海洋学」「微生物学」「生態学」に含まれると同時に「海洋微生物学」「海洋生態学」「微生物生態学」にも含まれることになる。この様に科目名は、対象物(この場合は生物の分類群)や生息地、解析手法、目的などの各方面より細分化が可能なため、この様な複雑な階層構造が生じる。今後、本研究の様な分野整理学においては、この様な階層構造を踏まえ、整合性のある解析を目指して行かなければならないだろう。その意味において、立体目次における分野(科目)点分布グローブ内でのシナプスの張り方が重要になってくる。

(2) 3パラメータによる分類と意味を持つ分野群による分類

分類の方法としては、今回は、3パラメータに意味を与え、科目の性質から各パラメータに対して極性を与えて自動的に立体的に分布する方法を採用したが、試行過程においては、類似した科目を集めていくことで、比較的科目数の揃った、意味を持った分野群にまとめていくという方法も採った。結果として「数学・物理」、「化学」、「生物」、「地学・海洋」、「技術・工学」、「社会・経済」、「芸術」、「実技・語学」の8つの分野に分類することができた。

前者のメリットは、恣意性をなるべく排除し、自動的に分類することができる点、分野間の科口数にばらつきが見られる点であり、後者のメリットは、各分野の意味がはっきりしている点、各分野内の科目数が比較的揃う点である。本研究の目的は、現行の海洋教育カリキュラムの偏りを、分野を整理することによって明らかにすることであるため、前者の方法を採った。

例を挙げて説明すると、例えば3パラメータによる解析結果から、海洋教育の理系科目への偏向が認められたが、意味を持たせた分類方法では、そもそも科目名に文系科目が少ないため、文系的内容をまとめた分野の数自体が少なくなり、結果として偏りを客観的に見て取ることは困難であった。それに対し3パラメータによる分類では、分類された科目数として偏りが明らかとなった。

 

 

 

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