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図─3に、東京大内の特徴的な3学科の、学部前期課程、学部後期課程、大学院課程のカリキュラムを、本研究の方法において視覚化したものを提示する。これにより、縦方向の比較では、学部前期から大学院に進むにつれ、総合性が減少し専門性が増加している一般傾向が表現された。学部前期においてはどの学科も似通ったカリキュラムを設置しているが(東京大の前期課程においては、全学部共通の科目が多い)、学部後期、大学院に進むにつれて学科の特性が表れるようになった。

また、横方向の比較(学科間の比較)では、例として挙げた東京大・惑星地球ではD「理系・自然・原理」に偏向する傾向が見られた。この様な傾向は、東京大・理学地理や東京大・農学生命、東海大・海洋科学、東海大・海洋資源、東京水産大・海洋環境などにも見られた。もう一つの大きな傾向として、例に挙げた東京大・工学船舶の様にI「理系・人工・応用」への偏向が見られた。この様な傾向は、東京大・工学海洋、東京商船大全学部、東海大・航海工学、東京水産大・海洋生産などにも見られた。これらに加え、双方の傾向が同時に見られる様な学科も、東京大・農学生産、東京大・農学環境、東海大・海洋工学、東海大・増殖、東海大・水産資源、東海大・海洋土木、東海大・デザイン、東京水産大・食品生産などに見られた。この3つの傾向を総合すると、理系に偏向していること、対象が自然物であれば原理の探求、人工物であれば現実への応用を目的とするといった傾向が見られる。

また、この様な3つの傾向の他に、例として挙げた東京大・教養広域や、東京大・理学地理、東京水産大・資源管理においては、典型的なIV「理系・自然・原理」、I「理系・人工・応用」以外の科目もかなり存在し、より総合的なカリキュラムが採られていることが分かった。

 

4. 考察

(1) 学問分野名の階層構造

解析初期段階では科目名が非常に多いため、類似した内容であろうと推測されるもの、またあまりに細かい内容のものは一つの科目としてまとめることを試みた。しかし、全科目リストには、様々な階層の科目名が含まれており(例えば、水産学と水産動物資源学が列記されている)、このような科目をまとめてしまうとすると、包含関係上大きい方へとまとめてしまうことになり、科目の多様性が活かされないこと、複数の包含関係のどちらにまとめるかが問題になること(水産動物資源学は水産学と動物資源学のどちらに含まれるかという問題)など、様々な問題が生じた。

 

 

 

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