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前者のメリットは、各象限の意味がはっきりしている点、象限内の要素数が比較的揃う点であり、後者のメリットは、恣意性をなるべく排除し、自動的に分類することができる点、象限内の要素数にばらつきが見られる点である。今回は学部間の設置科目のばらつきを明らかにする目的があったため、後者を採用した。今後も最終目的に合わせ、これらの方法を選択する必要がある。

4] 座標値の決定方法としては、今回は3軸で分類後、象限内に乱数により配置した。スクリーニングせず全ての科目を表示する反面、各点は所属象限以外の属性を失うので、あえてこの方法を用いたが、今後は3軸について+-だけでなく値を与えることで、意味のある座標値を決定することも可能である。

 

III 立体目次を利用した日本の大学における海洋教育の分野分布特性の解析

1. 研究の目的

上述の立体目次の作成によって、日本の大学における海洋教育では「理科系」に重点が置かれているのではないかとの仮説を得た。そこで、3軸を活用して8象限に分類するという発想に依拠して解析を行い、その仮説を検証することとした。その結果から、日本の海洋教育について現状解析を行うとともに、今後の課題を述べる。

 

2. 材料と方法

IIに述べた調査データと方法を用いて、解析対象のデータを得た。

開設はしていても履修しなくてもよい(つまり選択制等となっている)場合が多いため、他学部聴講などを除いた正規のカリキュラム上で、その学部を卒業した学生が履修した可能性のある全科目名をリストアップし(計1857科目)、それに対して解析を行った。

科目名から内容を推測し、以下の方法で整理した。科目名からのみでは内容を推測するのが困難なものに関しては資料に戻り授業内容を確認した。

科目の整理体系として、2つの相対する極性を持つ3つのパラメータを設定し、それらの組み合わせによって各科目を該当分野に分配するという方法を最終的に採った。3つのパラメータを、3次元空間を表す3軸と捉えることにより、8象限と原点、軸上、平面上に科目が自動的に分配されることになる。この空間内での分布を見ることで、視覚的に、各学部の分野特性を捉えることができる(図─1)。

 

 

 

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