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超塩基性岩のCaO含有量は一般には4%程度と少ない。それにもかかわらず、方解石に富む蛇灰岩が生成することがある。したがって、蛇灰岩を生成させたカルシウムの供給源を探ってみる必要があろう。蛇灰岩のカルシウム源を探るときローディン岩が興味ある岩石となる。ローディン岩は蛇紋岩中に塊状あるいは脈状で産する白色の岩石で、ざくろ石Ca3(Al、Fe)2(SiO4、O4H4)3と透輝石CaMgSi2O5を主とする。この鉱物組成から明らかなように、ローディン岩はカルシウムに富む。

 

付. 項目の立体配置

二酸化炭素および炭酸カルシウムに関連する地球科学的項目を約100抽出し、それらの相互の関連性を見るために、3次元に配置した。3次元空間における主軸として、人為(-4)─自然(+4)、生物(-4)─鉱物(+4)、および場(-4)─対象(+4)を選んだ。各項目についてそれぞれの軸の値をいくらとするかは、個人的感覚によって大いに異なる。また、同一人でも時によって変わるはずである。

今回の項目の相対配置では、項目相互の相対的位置のみに意味がある。そこで、本研究の表題が「超領域科学としての海洋研究」であることを考慮して、「海水」を原点(0、0、0、)に置いた。また、このとき

1]海水は自然物であるが、人類にはNaClやMgOの供給源、あるいは工業用水として利用していること、

2]生命は海水中で発生・繁栄するとともに、蒸発岩や海底熱水成鉱床に見られるように鉱物も海水から生成していること、

3]海水そのものは物質であるから対象にしかならないが、生命が生存する場を提供するとともに、熱水と海水の混合で海底熱水成鉱床が生成するとき、海水は鉱物沈殿の場を提供していることをも念頭に置いた。

項目の立体配置に必要な項目内の関連表を作成する過程で、1つのことに気づいたので、それを最後に記しておく。例えば、「ウミユリ」と「環境」を考えた場合、「ウミユリ」は「環境」に大きく依存するとともに、地球の「環境」は「ウミユリ」に代表される炭酸カルシウム殻をもつ生物の繁栄によって変化した。つまり両者の関係は双方向である。これに対して、「カルスト」と「桂林」を考えた場合、「桂林」を説明するとき「カルスト」は必要であるが、「カルスト」の説明にとって「桂林」は必ずしも必要でない。したがって、「桂林」は「カルスト」に関係しているといえるが、「カルスト」が「桂林」に関係しているとはいえず、両者の関係は片方向である。そこで、双方向の場合両側に矢印をつけ、片方向の場合一方向にだけ矢印をつけて表示すると、さらに多くの情報を示すことができる。

 

 

 

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