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CaMg(CO3)2+2H4SiO4→CaMgSi2O6+4H2O+2CO2↑ (17)

という反応で生成する。上式でH4SiO4は熱水中に溶解している珪酸を表わす。スカルンが生成するとき、黄銅鉱CuFeS2や閃亜鉛鉱ZnSなども一緒に沈殿して、銅鉱床や亜鉛鉱床が形成される。この過程で生成した鉱床をスカルン型鉱床と呼ぶ。

スカルン型鉱床は、石灰岩が一種の吸い取り紙の役割を果たしたために生成したといえる。タングステンの鉱脈型鉱床では、鉄マンガン重石(Fe、Mg)WO4が鉱石鉱物である。これに対して、スカルン型鉱床の鉱石鉱物は灰重石CaWO4である。割れ目中を熱水が上昇しているとき、Fe2+やMn2+イオンとともにWO42-イオンが存在しているが、鉄マンガン重石の溶解度には達していない。このようなとき、方解石の分解でCa2+が供給されると、同じWO42-濃度でも灰重石の溶解度が鉄マンガン重石より低いため、灰重石が沈殿する。これがスカルン型タングステン鉱床の生成機構である。

石油は生物の遺体を原料とする。堆積物とともに地下へ埋没した生物の遺体を構成していた炭化水素は、地温の上昇とともに分解される。炭化水素が分解されるとは、単純には、重合度が低下し、分子量が小さくなることである。この過程を石油の熟成という。炭化水素の分子量が小さくなると、その粘性が低下し岩石中を移動するようになる。このようにして、石油の原料物質が存在していた石油根源岩から、石油は空隙率が大きく、透水性の高い砂岩などの方へ移動する。石油が移動してきた砂岩の上部が不透水性の頁岩で覆われていて、石油がそこから他へ移動できないと、石油はそこに捕獲されたことになる。この石油が捕獲される地質構造をトラップ、石油が存在する部分を貯留層という。

最も良好なトラップは、地層が上に弓なりに曲がった背斜構造である。また、最も良好な貯留層の岩石、すなわち貯留岩は砂岩である。石油の開発が進むのにつれて、良好なトラップと良好な貯留層のみでは、石油が供給できなくなってきた。このため、トラップとしてはより発見が困難な不整合、断層、殲滅などの構造も探査の対象となっている。貯留岩に関しても同様の傾向にある。例えば、以前は貯留岩は海成の砕屑性堆積岩に限られると考えられていた。しかし、中国の大慶油田で陸成層にも石油が貯留されていることが発見された。これによって、陸成の堆積盆も探査の対象地域に加えられた。また、火山岩も貯留岩となっている。

最も良好な貯留岩は砂岩で、炭酸塩岩石がこれに次ぐ。世界的に石油の貯留岩を見ると、砂岩が60%、炭酸塩岩石が30%を占める。しかし、巨大油田とガス田に限ると、40%以上が炭酸塩岩石を貯留岩としている。炭酸塩貯留岩の空隙の型には、二次的な溶解空隙と割れ目が最も多い。

 

 

 

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