一方、付加された部分は堆積岩として観察される。海の堆積物は一般に、海岸から離れるに従って粒度が小さくなる。したがって、単純にいうと、砂岩は近海の陸源堆積物、泥岩は遠海の陸源堆積物である。また、チャートはほとんど珪質軟泥を起源としている。これらに炭酸カルシウムが混在していると、「石灰質」という修飾語がつく。
貝殻を含む砂岩や泥岩の中に円礫のように見える塊が混在していることがある。この塊は砕屑粒子が炭酸カルシウムで膠結されているので炭酸塩団塊(あるいは結核)と呼ばれる。観察によると、1]団塊の形状は円盤形の回転楕円体で、2]その高さはそれが含まれる単層の厚さに一致し、3]中心には核として貝殻等が存在する。したがって、核として存在している貝殻等の炭酸カルシウムが溶解して、それが周囲に再沈殿し、砕屑粒子を膠結したと考えられる。ところで、炭酸塩団塊は貝殻等が存在すれば、どこでも生成しているというものではないので、炭酸カルシウムを溶解・再沈殿させた地下水は多少加熱されていたと考えられる。したがって、この団塊の研究は続成作用の解明に大いなる指示を与えるはずである。
石灰岩の一種にチョークがある。日本語では白亜とも呼ばれる。コッコリスや有孔虫起源のCaCO3を主とする石灰岩で、北米、ヨーロッパ、ロシア、南アジア、西オーストラリアなどのある限られた範囲内に分布する。これらのうち、イギリスとフランスの間にあるドーバー海峡の両岸地域の白亜の崖が特に有名である。ドーバー海峡の海底トンネルはこのチョーク層中に開削されている。日本の青函トンネルが緑色凝灰岩層中を掘削したのと較べると、岩質が柔らかく一定なので掘削が容易であった。
6. 風化と侵蝕による景観
方解石CaCO3と石英SiO2は最も普遍的に産する鉱物の代表である。特に、脈として産する鉱物としては、両者が圧倒的に多い。両者とも白色であるが、方解石のモース硬度が3、石英のモース硬度が7のため、ハンマーやナイフ(硬度6.5)でこすると前者は疵つくのに対して、後者は疵つかないので容易に区別がつく。しかし、細いときはナイフ等で疵をつけられないことがある。このとき手元に希塩酸等があれば、それを掛けると方解石は発泡するので、容易に識別できる。このときの化学反応式は、
CaCO3+2H+→Ca2++H2O+CO2↑ (13)
と書ける。