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河流的環境は河川が運ぶ堆積物がその河川の上、下流に堆積する環境を示しており、上流と下流では河川の勾配、流量等が著しく異なっているので、それに応じた堆積物となる。

また、下流の平野にくると、いわゆる扇状地と呼ばれるような氾濫原や、三角州と呼ばれる細粒物質のみの堆積物も見られる。また河岸段丘堆積物のように氷河時代の変遷に伴う一昔前の堆積物も見られる。

沼沢的環境はいわゆる沼地で最近はこれを埋め立ててウォーターフロント地区として開発されることが多く問題となっている。最近でも名古屋市の藤前干潟が問題になっている。このようなところは、シルト粘土等の細粒物質が堆積しているだけでなく、植物が繁茂するため有機物に富むことが多い。これによる泥炭層などもよく見られる。

湖的環境は、気候によって少し異なる。熱帯、亜熱帯地域の湖では蒸発が激しく、石膏、岩塩、珪酸等が沈殿し、砕屑物とともにこれらの層が堆積する。また、四季の変化のある地域の湖では、雨期、乾期等の水量の変化等により堆積の周期性が見られる。

洞窟的環境はごく特殊である。

 

陸洋的環境

陸洋的環境は陸と海の境目であるが、そのうちの瀕海的環境は寄せては返す破砕浪や沿岸流の影響を受ける地域である。河川の場合は常に上流から下流へと一方向の水の流れであるが、ここでは寄せては返す浪であるから往復運動である。礫は一般に偏平になり、河川の礫とは一見して区別できる。

潟や入江は一部、外海と通じてはいるが、沼や湖の環境とかなりよく似た状態となる。堆積物は有機物に富む堆積物で、サンゴ礁などで取り囲まれた所では、灰色〜灰黒色の頁岩やグレイワッケの砂岩、微晶質石灰岩等が特徴的に見られる。

河口や三角州はよく知られるように泥を主とする堆積物で覆われる。

 

海洋的環境

海洋的環境は、浅海、半深海、深海と分けられる。浅海はいわゆる大陸棚と言われている地域で水深200m以内である。このうちさらに浅い上部は陸上から供給される破屑性堆積物が非常に多く、礫岩、砂岩、泥岩などが主力となると下部になると破屑物が少なくなり、化学的沈殿岩である石灰岩などが見られるようになる。

半深海的環境になると海流の影響はほとんどなくなり、太陽光も届かず暗黒の世界となる。生物の繁栄と種類が限られ、陸上からの砕屑物は粘土の他はほとんどなく、化学的沈殿岩が主となる。

 

 

 

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