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開発により粘土、シルト分が大量に一気に海に流れ込んだため、サンゴ礁が死滅したりしている所もあるし、港湾の整備により沿岸流の流れが変わり、それに伴い堆積物も変わってしまったりしている。長良川河口堰や諫早湾の干拓事業による環境の大変化なども問題である。また、ビニール、プラスチック、ガラス片等腐りにくいものが堆積物と一緒に海洋に流れ込み、堆積物の1つとなっていくのも困ったことである。

 

2-3-4 堆積物、堆積構造より推定できる海洋環境

地球の表層の75%は堆積岩(堆積物)で覆われている。堆積岩は堆積物が固化したものであるが、堆積する場所(堆積環境)により各々特徴ある堆積岩を生成する。よって、堆積岩の特徴を見れば、この堆積岩が堆積した頃の過去の堆積環境が推定できる。この方法は地球の歴史(地史)を編む一つの重要な要素で、化石の研究とともに昔から研究され続けている。

自然斉一説の考えに基づけば、過去の環境も、現在の地球表面に存在する種々の環境と基本的には大きく異なっていないと考えられる。現在の地表での堆積環境は表1のように、大陸的環境、陸洋的環境、海洋的環境の大きく3つに分けられる。堆積物の多くは3の海洋的環境に運ばれるが、陸洋的環境にもかなりの量が堆積される。大陸的環境に堆積する量は全体量に比べれば非常に少ないが、陸上部分の我々の目に直接触れる種々異なった環境に堆積するので、その変化と特徴がおもしろい。最も、3の海洋的環境も本来はその中がいくつかに細かく分かれ、その細分化された環境毎に異なった堆積物が堆積することが推定されるが、我々の目に直接触れることができないため、今のところ細分化した環境変化を示すことができないにすぎない。深海調査船等による調査が現在以上に活発になれば、又将来海底生活者が出るような時代になれば、当然新しい発見が示されるであろう。

 

大陸的環境

完全な陸地的環境というのは、いわゆる水の流れによらない堆積物で砂漠と氷河がその典型である。砂漠では細かい砂やシルトを中心とする風成堆積物が、氷河では、氷が無理やり流れ下る時に周囲の岩石を削り取り、それが氷の溶解とともに堆積するモレーンが有名である。モレーンの堆積物は角が全くかほとんど取れてなく、また大小さまざまな大きさを呈しているのが特徴である。

 

 

 

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