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観測を行えなかった理由は、観測作業の要請が性急(6ヵ月以上前でない)であったためといわれている。同じ頃、同じ理由により金属事業団所属の白嶺丸がヌーメアから強制退去命令を受けている。これらの事態を重視した外務省は欧亜局大洋州課長名で「我が国船舶によるニューカレドニア等仏海外領土への寄港及び乗組員の上陸に係る許可申請並びに右船舶による仏200海里水域内における科学調査実施の通報について」という公文書を文部省、水産庁、気象庁などの関係諸官庁に送り、フランス側の手続上の要請を尊重し、1)寄港・上陸許可の申請に当たっては当該船舶の出港の少なくとも4ヵ月前までに、2)仏200海里水域内における科学調査の実施に関する通報は少なくとも出港の6ヵ月前までに行う必要がある旨の通達を出しました。平成7年8月のKH-95-2次航海では便宜供与文書が平成6年12月に提出されていたのにもかかわらず、フランス経済水域内での観測作業は、共同研究ではないという理由で認められなかった。国によってはこのようなトラブルが今後とも起きる可能性がある。インドでは自国の経済水域内の調査には監視官の乗船を要請し、かつ観測で得られた必要資料の提出を義務づけている。

二国間共同研究の形態をとると単独では難しい国の経済水域内の観測作業をできる場合もあり、青島海洋大学所属の調査船東方紅2号を使用した平成8年11-12月の日中共同海洋調査(鹿児島大学─青島海洋大学)や平成8年10月のロシア極東水理気象研究所所属のオケアン号を用いた日本海における日露共同海洋調査(日本原子力研究所─極東水理気象研究所)がよい例である。

 

4. 国際共同研究

条約の第13部第2節国際協力(表2)では多くの国が参加する国際共同研究の促進を強調し、調査が円滑に実施できるための有利な条件を設定している。

これまで我が国ではCSK(黒潮及び隣接海域共同調査:1964-1979年)、IBP(国際生物事業計画:1966-1973年)、GDP(地球内部ダイナミックス計画:1973-1978年)、BIOMASS(南極海海洋生態系及びそ生物資源に関する生物学的研究計画:1977-1986年)、ODP-II(国際深海掘削計画:1993-1998年)、WOCE(世界海洋循環実験計画:1990-1995年)、GOOS(海洋観測国際共同研究計画:1993-1997年)、TOGA(熱帯海洋と大気循環との相互作用共同研究:1984-1994年)、KAIKO/TOKAI(日仏海溝共同調査計画:1993-1997年)、JGOFS(地球的オーシャンフラックス国際共同研究:1989年─)、Inter-Ridge(国際海嶺研究計画:1992年─)、GLOBEC(地球規模の海洋生態系変動:1992年─)など国際共同研究にも積極的に参加し、WESTPAC(西太平洋海域共同調査:1971年─)事業の下、アジアの研究者の船上研修、水路部でのデータ解析研修を実施してきた。

 

 

 

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