クラブ入会の決定から5日後、「Lothian F. C. 」の練習に初参加した。最初はメンバーの顔もろくに見られないくらい緊張していたが、いざゲームが始まれば、「YAMA!YAMA!(僕のニックネーム)」の連呼。僕がひとたびボールを持つと、チームメイトは全員でフォローをしてくれる。しかも、一つひとつの僕のプレーに対して、「Well done(よくやった)」の言葉が返ってくる。
数日後、1969年に設立されたLothian F. C. の30周年記念パーティーが催された。わがクラブは、20名あまりと比較的小規模だが、会場には歴代OBなど総勢208名もの人々が集まっていた。
エディンバラに来て初めて食べる豪華な料理。元スコットランド代表のトークショーやチャリティーオークションなど、僕は贅沢な時間を過ごした。同じテーブルに座っていた親子は、クラブで過去にプレーしていた知人の紹介でやって来たそうだ。正式なクラブメンバーではないが、練習にもときどき飛び入りで参加したり、週末のリーグ戦も観戦しているという。見ず知らずの日本人の僕をメンバーとして受け入れてくれたこと、この親子のような関わり方ができることなど、クラブの寛容さを、肌で直接感じ取ることができた。
わがクラブの正式な名称は、「Lothian Thistle A. F. C. 」。A・F・Cの「A」は、アマチュアを意味する。だが仲間の一人は、「気持ちはプロフェッショナル。しかし、自分たちにはお金がないんだよ」と語った。また、コーチの一人は、スコットランドリーグの元プロ選手だということも判明した。
クラブの運営について詳しく聞いてみると、1年間の予算はおおよそ15,000ポンド(約280万円)。コーチや選手の給料はもちろんない。年間予算はスタジアムや練習会場の維持費、ユニフォームの支給に配分されている。メンバーはもちろん、OBのほとんどが毎月一定の額を補助しているということだった。また地元企業のスポンサー(4社)の支援もある。僕はその場で仲間に、「プロとアマの中間のセミプロみたいですね?」と言うと、「Exactly(まさにその通りだ)」という返事だった。
食事とクラブライフを楽しんだあと、帰り際に、マネージャーからメンバーとお揃いのネクタイを特別にプレゼントしていただいた。「Lothian F. C. の一員としての証に。そして、わがクラブに所属したという記念に」という言葉を添えて。
山口晶永(やまぐちあきなが)
1975年福井県生まれ。三重大学大学院スポーツ社会学専攻。研究テーマは「プロサッカークラブ育成のためのマーケティングに関する研究」。日本サッカー協会準指導員。
こまつなおゆきの「元気の作り方」講座 ●第11回
運動生活をスタートさせるカンタン7カ条
何か運動を始めようと志を新たにしている方、とにかく運動は生活習慣にしてしまうことです。頭ではわかっていてもなかなか始められないという方、発想を変えてみましょう。運動を生活に取り入れやすくする7つのヒントを伝授します。
■第1条 しんどくなくても効果がある
運動は、きつければきついほど効果がある、というのはまったくの思いこみです。この20年間に運動生理学が明らかにしてきたのは、最大努力の60%の運動でも100%の運動と同程度の効果が得られるということであり、歩行のような軽度の運動でも、からだを好ましく変化させられるということが証明されています。
■第2条 何かのついでに習慣化する
家にいるときに、「この部屋に入ったら腕立て伏せを10回やる」とか、「電話で話して受話器を置いたらスクワット(膝の屈伸)を10回やる」というように、ある場所や他の行為と抱き合わせにすることも一つの方法です。もちろん、起床時や就寝前に、なかば儀式化して取り組むことも考えましょう。
■第3条 いちいち理由を考えない
私たちの生活はからだを動かすことで成り立っている以上、運動は、好きでも嫌いでもやらなくてはいけないことになっているのです。だから、運動する理由をいちいち考えない。食事の後に歯を磨くように、ちょっとした運動をあれこれ理由を考えずに自動的に行う次元に据えること。
■第4条 人助けだと思ってやる
自分のからだのために時間を割くことは、いざというとき人のために何かをしてあげられる自分を維持することです。体力を高めることは、他人に優しくなるためであり、病気やケガをして他人の時間を奪わないためでもあるのです。
■第5条 運動を免罪符にする
太りたくないからと食べたいものを我慢するのなら、その精神的なエネルギーを、運動することに使うべきです。運動していれば、病気になることが防げるのだから、払わなくてすむ医療費で欲しい物を買ったり、おいしい物を食べたりしていいのです。
■第6条 運動のための時間を作る
毎日、何時に運動できるかを考えること。運動不足の解消は運動時間のスケジューリングの問題。やらなくては、と思っていても時間を設定しないかぎり始まりません。そういう人、ホントに多いんです。まず、自分に宣言するように、「夕方5時に腕並て伏せを20回やる」といったことも手帳や予定表に書くことです。
■第7条 時間を取らなくても運動はできる
前の項目と矛盾するようですが、毎日の生活場面にチャンスあり。歩くときには一所懸命歩く。階段の上りは、衰えがちな足腰のために絶好です。一段とばし、できれば二段とばしでクリアしましょう。1階分上れば十分。筋肉の強化には運動の反復回数は少なくていいのです。その意味で、腕立て伏せや腹筋は30回やってもすぐ終わる上に効果的。また、テレビを観ながらのんびりストレッチングをするのもお薦めです。
生活を点検し、悪しき習慣を排して、適度な運動を始めましょう。まず、就寝時間・起床時間を定めます。3度の食事時間を設定します。そして運動する時間を決めます。この3要素がすべてに先行して有効なのは、自分自身を具体的にコントロールしやすいからです。あらかじめ決めた時刻に眠る、起きる、食べる。睡眠時間は何時間で、食事はきちんと食べたかどうか、運動の際には、何を何回やるか、どのくらいの強さでやるか、たとえば心拍数や持続時間、あるいはウエイト・トレーニングの重りの量といったこと。体重を計るのもいいことです。こうして自分の行動は数字で管理できるわけです。その数字は努力の証しにもなるんです。
こんなふうに自分の行動を数字で管理することで、「自分をコントロールする感覚」が生まれてきます。ここが肝心。この「自分をコントロールする感覚」こそ、自信を生み、やる気をもたらしてくれるのです。
小松直行
1960年横浜市長者町生まれ。筑波大学体育専門学群卒。東京大学大学院教育学研究科体育学専攻修士課程修了、同博士過程中退。資生堂研究員を経て95年より日本女子体育大学講師。著書に『身体教育の社会学(高文堂)』『ウエルネス・ウォーキング(求龍堂)』など。
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SSF・TOPICS
http://www.ssf.or.jp/
E-mail:info@ssf.or.jp
書籍紹介
「アメリカの公園・レクリエーション行政─その歴史的背景と事例研究─」
(財)日本レクリエーション協会 監修
(株)余暇問題研究所 編
アメリカの公共公園とレクリエーションの歴史的背景と、全米各地の12都市における公園・レクリエーション行政の事例研究の2部構成。レクリエーションの分野では日本よりはるかに進んでいるアメリカの自治体の先進事例が豊富な資料を交えて紹介されており、レクリエーション関係者や自治体の公園行政担当者にとって参考となる一冊です。
(不昧堂出版 本体2,400円+税)
国際キャンプ会議、10月に東京で開催
2000年10月2日(月)〜8日(日)、「第5回国際キャンプ会議」が国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)をメイン会場に開催されます。
会議のテーマは「新しいキャンプ文化の創造をめざして」。世界約30ヵ国から野外活動・青少年活動の関係者が一堂に集い、情報交換や意見交換が行われます。21世紀の地球環境間題や青少年育成のあり方を考える上でも大いに参考となる会議です。キャンプ関係者はもちろん、青少年育成活動に携わる方も奮ってご参加下さい。
詳細については、東急観光(株)新宿支店「国際キャンプ会議受付事務局」(TEL:03-3340-0620)にお問い合わせ下さい。
SSFスポーツエイドに961件の申請
1月に申請を受け付けた平成12年度「SSFスポーツエイド」に、今回も961件という多数の応募を頂きました。
交付の採否については、3月に開催される審査委員会で決定し、4月上旬に各申請団体にお知らせします。