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Club-life in Scotland

クラブライフinスコットランド

連載1]クラブ探しは自転車で

山口晶永

 

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ロンドンから列車で北へ6時間。僕はスコットランドのエディンバラという街を目指している。理由は、修士論文のためにプロフットボールクラブのジュニア育成に関する意識調査を行うこと。加えて、クラブライフとは本当にいいものなのか、自ら実体験してみるためだ。日本を発つ前、受け入れ先のクラブを探したものの上手くいかず、結局現地ではクラブ探しからスタートすることになった。

日本から2日かけてエディンバラ入りした僕は、さっそく自転車と地図を購入して市内巡りを始めた。たまたま通りかかった「Pilton Neighbourhood Center」。各種スポーツ施設をはじめ、ミーティングルームやレストラン、発表会などが催せる舞台がある。掲示してある写真を見ると、社交ダンスやヨガ教室、また介護ボランティアサービスなども実施しているようだ。多様なクラブライフが市民生活に根づいていることを感じた。

数日後、「Edinburgh Leisure」というNPO団体を見つけた。市内にある7つのプール、12のレジャー・スポーツ施設を管理、運営している。もちろんフットボールコートもある。スポーツ施設を管理するNPOとスポーツクラブがそれぞれ独立して存在するなんて、さすがはスポーツクラブ先進国である。ここに問い合わせれば、施設を利用しているクラブの連絡先を教えてくれるだろうと思い、その施設の一つ「Saughton Sports Complex」を訪ねてみると、「うちは場所を提供しているだけで、クラブの紹介は無理だ」というつれない返事。

さらに数日後、様々なクラブの情報が満載されている一冊のサポーターガイドブックを手に入れることができた。それによると、スコティッシュ・フットボールは、プロリーグを中心にいくつかの地方ブロックに分かれているとのこと。まず僕はエディンバラを拠点とする「The West of Scotland League」に焦点を絞り、自宅としているアパートメントから半径5km以内、自転車で30分以内の距離(これ以上だと、自転車でのエディンバラの坂道はしんどい)にあるクラブをピックアップ。さらに、その中から大学のクラブは削除した。一度は学校以外でのクラブライフを体験したかったからだ。すべての条件を照らし合わせた結果、「Lothian Thistle F. C. 」というアマチュアクラブを選びだした。僕はクラブヘの加入希望を綴った英語のメモを片手に、勇気を出してクラブのマネージャーに電話をした。

「クラブライフを経験したいのですが、入会させていただけませんか」(もちろん英語で)

ほんの短い沈黙、そのあと受話器から届いた声は、こう言っていた。

「メンバーが増えて楽しくなるよ」

なんと、すんなりOK。エディンバラに到着して22日目のことだった。

これから5ヵ月、僕の「Lothian Thistle F. C. 」でのクラブライフが始まった。

 

山口 晶永(やまぐちあきなが)

1975年福井県生まれ。三重大学大学院スポーツ社会学専攻。研究テーマは「プロサッカークラブ育成のためのマーケティングに関する研究」。日本サッカー協会準指導員。

 

 

こまつなおゆきの「元気の作り方」講座 ●第10回

あなどれないぞ、言葉の力

 

疲れていても「疲れた」と言わない。「まいった」とも「あ〜あ」とも。

「すみません」は元気低下誘引語。「ありがとう」と言うくせをつけよう。

心に秘めているだけではダメなときもある。言葉の力を信じなさい。

 

◇「ありがとう」はありがたい

私たちは、元気をなくしてしまう原因を、実は自分自身で作り出していることに気づいていません。それが「言葉」です。謝る必要がないのに「すみません」と口をついてしまうことってありませんか?自分が何か悪いことをしているように感じるのは、不安なときや失敗を恐れる気持ちが高まってきたとき、あるいは緊張しているときに多いのです。でも、「すみません」は自分の元気を低下させる言葉です。言ってしまうとよけいにガックリ来ます。謝罪でなく、感謝の言葉が必要なら「ありがとう」と言ってください。それも大きな明るい声で。ちょっと元気になるはずです。

たとえば、何かの作業が長引いたり、退屈だったりするときに「あ〜あ」とか「疲れたぁ〜」なんて言うでしょう。これは、やめましょう。いったん口から出た言葉は、自分に対して暗示として作用するからです。実際にはそれほど疲れているわけではないのに、一種の緊張緩和のために「疲れたなぁ」と言ってみること、ありませんか?

でも「疲れた」という言葉を口にしたとたん本当に疲れてしまうのです。何か困難なことがあったときに、「まいったな」とか「できるわけないよ」というのも同じ。自分で自分のやる気を落としめているようなものです。

 

◇マインドコントロールは言葉から

さらに、本当に疲れていたり、やる気がなくなったり、挫けそうになったりしているときは、なおさらそういう言葉を使ってはイケマセン。「もうだめだ」とか「できない」とか否定的なセリフを口にしたところで、状況が改善されるわけではなくて、自分の活力をどんどん低下させるだけです。本当にダメになりそうな状況なら、周囲の人もわかっているはず。そういうときには自分から宣伝する必要はありません。むしろ、ダメそうなことが見え見えでも、言葉の上では「だいじょうぶ」「自分はまだまだやれる」と言いきかせること、つまり「やせ我慢」が大事なときもあるのです。ただの「我慢」じゃなくて、「やせ我慢」というところがポイントですけれど。言葉の力を見くびってはイケマセン。「自分はできる」「だいじょうぶだ」と声に出して言ってみれば、どこからともなく元気がわいてくるはず。

スポーツ・シーンでは「かけ声」の効果は良く知られています。日常生活でも同じです。仕事をするときでも勉強をするときでも、やらなくてはいけないという段になったら「よし、やろう!」と大声で言ってみてください。自分にハッパをかけるわけですが、声に出していうのがポイント。やる気になれないときや、集中力が沸いてこないときにも、意識的に声を出してやると、気持ちが一点に集まってきて、とりあえず元気も出てきます。

あるいは、毎朝、鏡に向かって自分を激励してみてください。「明るく行こうぜ」とか「張り切っていこう」とか、声に出して自分に語りかけること。一声かけるだけでかまいません、毎朝の習慣にしましょう。声に出すのがポイントです。その声はもちろん自分が聞いています。無意識のうちに心にも刻まれて、自分を勇気づけるはず。大きな字で書いて、目に付くところに張るのも効果ありです。自分にかけ声をかけることで自分の意識や願いはより鮮明になります。毎日繰り返すことで、知らず知らずのうちに自信が生まれてきて、やがて自分の行動に反映されてきます。つまり、トレーニングです。やるからできるようになるという種類のことなのです。きょうも、明るく、元気にいきましょう。

 

小松直行 1960年横浜市長者町生まれ。筑波大学体育専門学群卒。東京大学大学院教育学研究科体育学専攻修士課程修了、同博士課程中退。資生堂研究員を経て95年より日本女子体育大学講師。著書に『身体教育の社会学(高文堂)』『ウエルネス・ウォーキング(求龍堂)』など。

 

 

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海外レポート最新号刊行

 

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SSFでは、海外のスポーツ・フォア・オールに関する文献を翻訳し、「SSF海外レポート」として刊行しています。この度、米国オリンピック委員会(USOC)の報告書を翻訳した「米国オリンピック委員会97-98ファクトブック」が出来上がりました。USOCの組織や活動が詳しく紹介されており、我が国のスポーツ振興の参考となる内容も多く盛り込まれています。本書をご希望の方は、SSP情報システム課までご連絡下さい。

 

3,000人が快走!

神宮外苑ロードレース

 

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去る12月19日(日)、障害者と健常者が同じコースを走る「99神宮外苑ロードレース」が開催されました。東京・国立競技場をスタート&ゴールとする周回コースに集まった10代から80代までの男女3,092人は、一般、車いす、盲人、知的障害者の4部門で思い思いにランニングを楽しみました。

この大会は障害者と健常者とのふれあいをテーマとしています。今回初の試みとして、健常者が車いすの部に体験出場しました。車いすランナーの簡単な指導を受け、10kmの部に挑戦したのは日本体育大学で障害者スポーツを学ぶ学生4人。登り坂やカーブでは、慣れない車いす操作に苦しみながらも見事完走し、レース後は他の車いすランナーと親交を深めていました。

 

「SSFネットワーク」会員募集

 

全国各地でスポーツの普及活動を地道に行っているスポーツ団体の相互交流を図るための「SSFスポーツ・フォア・オール・ネットワーク」では会員を随時募集しています。現在このネットワークには、全国47都道府県から約150種目、670あまりのスポーツ団体が集まり、地域や種目を超えた情報交換、交流が芽生えています。会員にはSSFが主催するイベント、セミナー等への優先参加、ホテルの割引サービスなど、さまざまな特典があります。入会についての問い合わせはSSF業務課まで。

 

 

 

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