SSF世界スポーツフォトコンテスト'95入選作品
MIKE POWELL (USA) “Gail Devers─Starting Blocks”
スポーツの選手に会い、話を聞き、それを書き伝えることを仕事にしているが、もしかすると、その言葉以上に彼(彼女)を雄弁に語っているのがその肉体ではないかと思うことがある。
スポーツ選手の肉体、それは長い年月をかけて作られた作品であり、彼らが専門にしている競技そのものを身を持って語っている。また、時にその肉体は、喜怒哀楽の感情を表現するだけではなく、彼らの私生活や、思わぬ一面を垣間見せてくれたりもする。
平成の怪物、西武ライオンズの松坂大輔投手。150キロを越えるストレートとコントロールされた変化球で、日本中の野球ファンを魅了している。取材の合間に彼が着替えるところを見たが、パワフルなピッチングを支える背筋力270キロと言われるその背中の隆起は、18歳の少年のそれとはとても思えない、見事に鍛えられたものだった。
陸上100メートルと200メートルの日本記録保持者、伊東浩司選手の肉体は、恐ろしく無駄なものがそぎ落とされた肉体だった。足の筋肉の発達は、ランナーであれば当たり前のことだろうが、驚いたのはその手首の細さだった。まるで発達が止まってしまったような細い手首は、走る際に腕がいかに脱力されているかということを物語る証拠なのだろう。
引退したNBAのスーパースター、マイケル・ジョーダン。彼の凄さを語る時によく言われたのが、エアージョーダンと呼ばれた滞空時間の長いジャンプ力のこと。だが、その正確なシュートの原動力は、むしろ片手でバスケットボールをつかめてしまう彼の大きな手ではないかと思う。
手と言えば、世界のホームラン王、王貞治さんの手が、思ったより小さくてきれいな手をしているのにも驚いた。ホームランを打つのは腕力ではなく、速いスイングとタイミング。小さな手は、そのバッティングの秘密を語るものなのだ。
引退したテニスプレーヤー、伊達公子さんの手に大きなペンダコがあったのも印象に残っている。世界中を転戦する伊達さんは、その戦いぶりを日記にしるしていたのか、はたまた手紙でのコミュニケーションを図っていたのか。いずれにしてもひとりになった彼女が部屋で机に向かっている姿がそこにあった。
肉体はすべてを語る。美しい肉体に出会うたびに、その生き方とスポーツの素晴らしさをそこに感じてしまう。
食]体]動]─東洋医学からみた健康法
5]文明と病気の深刻な関係 根本幸夫
文明の発達とともに社会に流行する病気も変わってくる。世界が今ほど交通機関が発達していなかった時代は、地域の病はその地域だけに発生が限定され、ましてや海を渡って流行することはなかった。中世以前のヨーロッパではひとたびペストやチフスなどが流行すると、陸続きだけにあっと言う間に病気が伝染し、何万という死者が出た。そのためヨーロッパでは、はっきりと原因がつかめなかったが、15世紀半ばには、各国に衛生局が設けられ、検疫と防疫的交通遮断が行われるようになった。
19世紀には顕微鏡の発達とともにコッホらによって多くの病原菌が発見され、やがて20世紀になると抗生剤が開発されるようになり、人類の病苦の大半は片づくかのようにみえた。だが、今度はインフルエンザウイルスをはじめとする多くのウイルス性の病気が人々を苦しめるようになった。そしてその流行の速さはまさに交通機関の発達に比例していた。エイズももともとはアフリカの一地方の風土病であったのだ。
このウイルスの問題が未解決のうちに、今度は抗生剤の多用によって抗生剤の効かない真菌症(カビによる病)や多くの耐性菌が生み出され、再び人々を苦しめ始めている。
また発展途上国では依然として栄養失調などの問題をかかえこんでいるが、先進国では逆に栄養過多によるいわゆる糖尿病、高脂血症、心臓病、肥満、ガンなどの生活習慣病や、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の疾患が急激に増加している。わが国においてもすでに5人に1人が何らかのアレルギー疾患にかかっているといわれている。
これらのアレルギー疾患は、昭和30年代前半までは日本になく、かつ発展途上国にきわめて少ないことから、飽食と環境汚染の結果と考えてよい。
現代の主婦は農薬や汚染化学物質には敏感であるが、砂糖や乳製品などにはきわめて寛大である。しかしアレルギー体質の人が、いくら有機野菜にこだわっていても、毎日のデザートにチョコレートやケーキ、まんじゅうを食べていたのでは10円を倹約して1000円をドブに捨てているようなものである。私は砂糖類と乳製品を3分の1にすればアレルギーも3分の1に減ると考えている。
ガンもまた日常の食生活と非常に関係深いことがわかってきて、アメリカでは極力、肉食や脂肪摂取を控えるようになってきているし、精神的ストレスも重要な発ガン要因と考えられるようになってきた。それゆえ、ボケるとガンの進行はきわめて遅くなり、止まってしまうケースも多くある。いよいよ飽食とストレスの文明を考え直さなければならない時代になったようである。
SPOTRS ON THE WEB!
待望の夏がやってきました。ビーチが、フィールドが、あなたを呼んでいます。夏バテなんかしている場合じゃありません。シェイプアップが間に合った人もそうでない人も、体調を整えて、情報を集めて、いざというときに備えつつ外に繰り出しましょう。
栄養補給を見なおしたい
◇スポーツテクノサービス
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驢馬の目
私は、どこにでもありがちな市民サークル的な匂いがする、あるスポーツ種目の小さなクラブに所属しております。
ところが楽しみ方は会員によってずいぶん異なるもので、多数を占める競技そのものを楽しむ正統派のほかに、変り種では時に開かれる宴会を第一の楽しみとしている人、また入会していることだけが目的ではないかと思われる人もいて、こうした会員は年度始めには必ず年会費を納付しますが、月例会にはほとんど現れません。会費がもったいないので休会をすすめられたようですが、いまだ几帳面に会費を納付しております。また普段は欠席ですが、シーズンオフに行われる旅行会にだけは必ず出席し、夜遅くまで酒まみれで満足している人もいて、これらの愛すべき人々は酔狂派と言えるかもしれません。
このクラブは、入・退会を含め月例会などの出欠は自由であり強制されないので、酔狂派もきちんと会費を納付し、相変わらず欠席し続け楽しんでおります。しかも不思議なことに、練習に励む正統派と酔狂派は、久し振りに会う機会があると、お互いに和気あいあいとやっているではないですか。
なにかと気の急く現代の世の中で、私にはこのあいまいさがたいへん楽しく思えてなりません。