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また、優占種は固体数の多い順にマツモムシ、コミズムシ類、シオカラトンボ類、フタバカゲロウ類、ユスリカsp.1でこの5種で全個体数の77.5%を占めた(表3)。一方、メミズムシは1個体しか確認されなかった。長谷の池Aでは、レッドデータブック(環境庁、1991)に危急種としてあげられているタガメLethocrus deyrolleiや大阪府内で減少しているガムシHydrophilus acuminatusなども確認された。

府大圃場の池ではカゲロウ目、トンボ目、カワゲラ目、カメムシ目、コウチュウ目、ハエ目の6目27種のべ7,357個体が確認された。優占していたのはカメムシ目(7種)、トンボ目(6種)、コウチュウ目(6種)、ハエ目(6種)であったが種数に違いはなかった。優占種は、ケシカタビロアメンボMicrovelia douglasi、ユスリカsp.1、シオカラトンボ類、アオモンイトトンボIschnura senegalensis、ウスバキトンボPantala flavescensで、この5種で全個体数の86.0%を占めた。一方、アメンボGerris paludum insularis、ハイイロゲンゴロウEretes sticticus、イネミズソウムシの3種はそれぞれ1個体のみしか確認されなかった。

長谷の池Aと府大圃場の池の水生昆虫を比較すると、共通種はチビゲンゴロウGuignotus japonicusやコマツモムシ、ショウジョウトンボCrocothemis serivilia mariannaeなど16種あり、タガメやガムシ、モノサシトンボなど35種は池Aのみで、アオモンイトトンボやカンムリセスジゲンゴロウCopelatus kimmuriensis、イトアメンボHydrometra albolineataなど11種は府大圃場のみで確認された。府大圃場では優占5種の占有率が池Aより10%近く高く、寡占の目立つ群集構造であった。

長谷の他の調査区についてみると、池Bでは45種のべ8,339個体、湿地では36種のべ1,907個体、水路では58種のべ13,184個体が確認され、池Aを含む全体では63種のべ43167個体が確認された。優占5種とその占有率は、池Bではマツモムシ、コミズムシ類、シオカラトンボ類、ミズカマキリ、ユスリカsp.1で全個体数の80.3%、湿地ではシオカラトンボ類、マツモムシ、ユスリカsp.2、ユスリカsp.1、コミズムシ類で70.4%、水路ではマツモムシ、コミズムシ類、シオカラトンボ類、ミズカマキリ、ギンヤンマ類で68.2%をそれぞれ占めた。長谷では、優占目はどの調査区でもコウチュウ目、カメムシ目、トンボ目の順だった。さらに、優占5種に大きな違いはなく、水路や湿地といったため池造成以前から存在する環境の方が優占5種の占有率が低かった。

 

 

 

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