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水路A、Bは、水路の両側にススキMiscanthus sinensisなどの草本類が繁茂して、水路の開放水面は狭く、水路内には水生植物は確認されなかった。水路Cは全期間を通じて水路内にイシミカワ、セリが被度約60%で優占していた。水路Dのついては、水路両側の水際にはイシミカワPersicaria perfoliata、セリOenanthe javanica、アシボソMicrostegium vimineumが生育していたが、水路中央部には水生植物は確認されず、開放水面は広かった。

長谷の調査区の最上部にある湿地は、さらに上部にある湧水が「がま」と呼ばれる暗渠設備から供給されるため、ごくゆるやかな水流があった。水深は5〜15cmと場所によりさまざまであり、水底は泥で覆われていた。最高水温と最低水温の差が平均して約3℃と小さく、安定していた。

植生は、6月1日にはスギナEquisetum arvense、シダ類、セリが優占し、被度はそれぞれ約40%、約20%、約10%であった。8月12日には、アシボソ、イシミカワ、セリがそれぞれ約50%、約20%、約10%を占めるようになり、それ以降、種構成、被度ともに大きな変化は見られなかった。

各調査地の最高・最低気温を図2に示した。長谷では8月3日に最高気温が30.0℃、最低気温は8月18日に20.0℃で最も高かった。最高気温は10月中旬、最低気温は9月中旬から下がりはじめ、調査終了時の11月25日にはそれぞれ14.0℃と0.5℃になった。一方、府大圃場では、8月16日に最高気温が41.0℃、8月18日に最低気温が25.0℃で最も高かった。最高気温は10月18日まで30.0℃以上という高い値を維持し、その後、下がり始めた。最低気温は9月中旬から下がりはじめ、調査終了時の12月6日には最高気温は17.0℃、最低気温は2.5℃であった。

 

2. 累積種数

 

長谷の池Aでは、調査初日の5月22日にはすでにシマゲンゴロウHydaticus bowringiiなどコウチュウ目が9種、ミズカマキリRanatra chinensisなどカメムシ目が3種、トンボ目が1種(シオカラトンボ類)、ハエ目が2種(ユスリカChironomidae sp.1とsp.2)の計15種が確認された(図3)。その後、6月1日にはチャイロマメゲンゴロウAgabus browni、コオイムシDipronychus japonicus、コミズムシ類の3種が新たに確認されるなど、7月と9月の2回を除き、調査ごとに新たな種の侵入は確認され、10月5日のケシゲンゴロウHyphydrus japonicusとメミズムシOchterus marginatusの移入を最後に、累積種数は51種に達した。

 

 

 

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