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結果

 

1. 調査地の環境

 

長谷の池Aでは水深は6月29日に23cmと最も深くなり、8月18日に11cmで最も浅くなったが、平均して約17cmで比較的安定して推移した。水温は、8月12日に最高水温が33.0℃、8月18日に最低水温が22.5℃で最も高い値を示した。その後、9月下旬から次第に水温は下がり始め、11月25日の調査終了時には最高水温は12.0℃、最低水温は4.0℃となっていた(図2)。

植生は、夏期にはコナギMonochoria vaginalis、シャジクモChara brauniiが優占し、7月6日に被度はそれぞれ約35%、約30%を占めた。それ以外には、ミズオオバコOttelia japonica、イJuncus effususが点在していた。それ以降、水生植物の種構成に変化はなく、8月12日にはコナギが約45%、シャジクモが約40%と被度を増し、9月中旬以降徐々に枯れ始めた。夏期には植物が繁茂していたにもかかわらず、多くのものは水面上に出ておらず、調査期間を通じて開放水面は広かった。

府大圃場の池では、12月29日に14cmと最も深くなり、9月27日に6cmで最も浅くなったが、平均約10cmで比較的安定して推移した。水温は、測定を始めた9月下旬には最高水温は32.0℃、最低水温は19.0℃であったが、10月下旬から下がり始め、12月6日の調査終了時には最高水温は12.0℃、最低水温は4.0℃となった。

植生は、8月2日にはアオミドロSpirogyra arclaとコナギが優占し、前者は約90%の被度を占めていた。その後、アオミドロの被度に変化はなかったが、9月14日にはコナギが成長し、約5%の被度を占めるようになった。府大圃場の池も長谷の池Aと同じく、植物は水面上に出ておらず、開放水面は広かった。

池Bでは、水深は6月29日の20cmを最高に、6月22日から8月12日までは約17cm、その後、9月29日の落水までは約10cmと季節により水深の変化が見られた。調査地は水はけがわるかったため、落水後も水が抜けきらず、水深1〜2cm程度の水が残された。最高水温は6月1日に35.0℃で最も高くなり、7月下旬以降は30.0℃を超えることもなかった。植生は、ミズオオバコが侵入しなかったことを除けば、種構成、被度ともに池Aと同様であった。

水路A、B、Cは調査期間を通じて水深が約10cmであった。水路Dの水深は約30cmで安定していたが、9月下旬の水田の落水後は10cm程度になった。

 

 

 

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