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黒潮大蛇行の前駆現象としての小蛇行

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Fig. 4 Detailed oceanic conditions to the south of Shikoku and the Kii Peninsula in the periods from Aug. 22 to Aug. 31 (left figure) and from Aug. 31 to Sept. 15, 1986 (right figure) (cited from the Regional Prompt Report of Oceanographic Condition published bimonthly by the 5th Maritime Safety Headquarter).

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Fig. 5 Same as in Fig. 4 except in the periods from Oct. 16 to Oct. 31 (left figure) and from Nov. 1 to Nov. 5, 1986 (right figure)

 

1986年11月の大蛇行発生に至る黒潮流路の変遷を7月上旬から12月上旬の期間についてFig. 3に示す。この場合7月前半に都井岬沖の黒潮に幅の狭い蛇行が発生している。7月後半・8月前半は観測点が少なくこの期間の動静は明確でないが、8月後半から9月前半にこの蛇行は大きく発達し、その東縁が土佐湾から室戸岬沖に達している。しかし、都井岬南方での黒潮流軸の位置には殆ど変化は現れていない。すなわち、蛇行の東縁の北流部分は東に移動しているが、西ないしは南の縁の位置はそのままで、蛇行ないしは冷水渦の東西幅が増大して行ったと考える方が自然である。第5管区海上保安本部水路部の発行している海洋速報は土佐湾沖から紀州沖の部分が拡大された形になっているので8月下旬(Aug. 22-31)および9月上旬(Aug. 31-Sep. 15)のものをFig. 4 に示す。「都井岬沖に発生した小蛇行が形を変えず四国沖まで東進してきた」という状態は起こっていないことはこれらの図から明らかである。潮岬周辺の黒潮は典型的な直進路を取っているが、紀伊水道内に低気圧性の渦が明確に存在することは注目すべきである。この東縁部はさらに東進を続け、9月下旬から10月上旬には室戸岬沖を越えて潮岬沖近くまで達したと考えられるが、室戸岬沖から紀伊水道沖の観測が少なく海況の細部は不明である。Fig. 3 のOctober(A)に低気圧性の小規模渦の発生が記されているが、観測点の分布から存在を確認することは難しい。

 

 

 

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