水深データ品質管理処理
JODCでは諸種の要求に答えるため、日本近海を対象に500mメッシュの水深データJ-EGG500を完成させ、1998年11月から公開している。この水深データおよびその加工品については、MIRCのサービス部門(海洋情報室)から一般に提供することになっている。この図は、現時点で最も信頼のおける詳細な水深データであると言えるが、原データの地域的な偏り等、なおも問題点を残しており、未利用のマルチビーム測深機(Multi-BeamEcho-Sounder:MBES)資料や衛星資料等を用いて今後さらに改善して行く必要がある。
我が国でのMBESの導入は、1983年に海上保安庁水路部の測量船｢拓洋｣に搭載されたのが最初であるが、現在では東大海洋研究所の｢白鳳丸｣や海洋科学技術センターの｢みらい｣、水路部の全ての測量船等、現在十数隻の調査船に搭載されている。しかし、大陸棚海底地質･資源調査に使用されたMBESデータは、当初の目的を達成した後の2次利用(水深図への適用等)は非常に限られているのが現状である。その原因は、1回の調査航海から生じる情報量が非常に多いこと、情報処理が複雑な上に機種や観測船毎に異なった品質水準で確保されていることがあげられる。MIRCでは1998年度に、MBES水深データの品質をチェックし、ファイル化するプログラムの開発を行った。
1999年度には、この開発されたソフトウエアを利用して、JODC/MIRCが保有しているSEABEAM、SEABEAM2000、SEABEAM2100によって得られたデータで未利用の80航海分のものについて、航跡ファイルの作成･ピングファイル編集を行った上、音速補正測位情報の補正･補間、状況に応じて潮高補正等の品質処理作業を実施した。この結果から、水深のメッシュファイル、等深線ファイルを作成し、さらに航跡図や等深線図を印刷する等、新しく得られた水深データを既存水深ファイルに同化、付加する基礎資料の作成を行ってきている。この成果は一般ユーザーが、すぐに利用するような形ではないが、JODCの保有する水深データを改善するのに利用されることになっており、それを通して成果を一般ユーザーに提供することになろう。
水深データセット設計
1999年度に実施しているこの事業は、一般ユーザーから要望の多い水深情報を、その要請に応じた形で提供できるように水深データセットを設計･用意しようとするもので、大別して(1)静止画表示設計と(2)動画表示設計の2つの事業を行っている。
