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ホスピスでのケアの理想は、生活の中に医療がごく自然にあること、個別性を大切にし残された時間が無駄にならないよう援助したいと言われていた。ホスピスは、死んでいく場所でなく、最後まで希望を持ちながら生をまっとうする場所だと思う。患者の苦痛を身体的・精神的・社会的・霊的に把握し、全人的苦痛として理解することが大切である。それらがケアされることで自分らしさが発揮されている。

講義で充実した24時間を考えたとき、私は、日常の普通の生活が普通にできることがとても大切で、素晴らしいことを感じた。日常生活援助の充実は、ホスピスだけでなく一般病棟に勤務する看護婦にも共通している大切な援助であると思う。

今回、ニーズを充足するためには、日常の生活援助の必要性について再認識した。看護婦の役割の中で、家族への関わりはとても重要な援助であると思った。患者のSさんは、意識が低下し応答が十分にできなくなり臥床状態にある。家族はその状況が受け入れられず、意識が戻ってほしいという気持ちが強い。

看護婦は、家族と患者は共に日々を過ごしており、家族が後悔を残さないよう援助に参加してもらいながら、また、悩みを聞いたり悲しみが表現できるような関わりを持っていた。家族が危機的状況に陥らないよう見守り、これから起こり得ることに情報を提供したり、家族の悩みを聞き、感情が表出できることが必要である。

家族は24時間患者の介護を行い、疲れ果てている。医療者は常にねぎらいの言葉かけを行わなければならない。

 

チーム医療について

 

様々な医療サービスを提供する際、チームで取り組むことで、より良いサービスを提供できる。緩和ケアで大切なものはチームワークであるが、これは大変難しいことである。

一般病棟より密な情報の交換が必要であるが、患者の深い部分での問題であったり価値観が問われる部分であり、良いチームワークにはとても苦労をされていた。患者を見るときは一方からでなく、チームで見ることが大切である。医師は申し送りに参加して情報を得たり、昼にもカンファレンスを必ず行っていた。チーム活動として今後、ホスピスボランティア導入の予定との話があった。

 

まとめ

 

実習では、ホスピスで行われている看護場面を通じ、その人らしさを大切にすること、そしてホスピスについての理解を深めることができた。また、看護者としての姿勢を見直すことができ、今後それらを実践に生かしていきたい。

 

 

 

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