ホスピス病棟実習で学んだこと
労働福祉事業団関西労災病院
撫養 真紀子
病院の概要
実習は、日本バプテスト病院ホスピス病棟にて行った。病院は、米国南部バプテスト宣教団によって建てられ、キリストの愛にもとづいた全人的医療を目指した医療が行われていた。全人的医療とは、身体的、精神的、社会的、霊的な援助を必要とする総合的なアプローチである。
キリスト教の理念にもとづいている病院で、毎朝8時30分から病院に隣接している教会で礼拝に出席し、賛美歌を歌い聖書を読んで一日が始まる。
実習病院は一般病院の併設型で、総合病院の利点を生かし、様々な職種の関わりがあった。1995年9月に緩和ケア病棟として正式に認可、1998年7月に8床から20床に増床されている。
<ホスピス病棟の目標>
1. 患者個々の能力を最大限に引き出せる看護を考え実践する。
2. 看護職員個々の能力を最大限に発揮できるように業務改善をはかる。
があげられ援助が行われた。
<私の研修の目標>
1. 緩和ケアの専門的技術・知識を深め、また、緩和ケアでの実際の援助方法の工夫や問題解決方法を知る。
2. 医療チームの連携を学ぶ。チームの中での看護婦の役割を理解する。
3. 一般病院の中でのホスピスの位置づけや役割について理解する。
4. 緩和ケアにおける倫理的側面について考えることができる。
5. 緩和ケアにおける看護の専門性について考えを深めることができる。
という目標を持ち実習に臨んだ。
看護婦のケアについて
ホスピス病棟は、患者にとって生活の場としてとらえ、患者の安楽を第一に考えて患者中心に業務が流れていた。ケアの時間や内容は、患者の生活の流れにできる限り合わせられていて、方法も患者の個別性を生かした方法がとられていた。
援助は、ひとつずつが丁寧に行われ、気持ちにもゆとりを持って行っていたのが印象的であった。また、患者のできるところを大切にし、それを良かったと認めてあげる関わりもとてもすばらしいと思った。
患者Iさんは、一番苦痛であった体の痛みは入院後3日ぐらいで良くなり楽になった。そのため、精神的にもすごく落ち着いた。しかし、病院から離れることには不安がある。その人らしくその後の希望を支えていく援助がとても難しいことに気づいた。Iさんには小学生の子供がいた。看護婦は子供と患者とが良い時間を持てるよう働きかけていた。患者は、子供との時間は大切にしたいという思いがあるが、そのことばかり言われることはとてもつらい、最後まで希望を持っていたい、と言われていた。
ホスピスでは、身体的な苦痛をとることの援助がとても優先される。それが保証されてなければ今後のことなどは考えられない。患者が何を望み、何をしたいのか希望を理解することが必要である。そのため看護婦は、情報を得るためにも積極的に関わりを持つことが大切で、チーム内で目標を話し合い、そして今後の予後などについても情報を共有する。