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5] 集約・協業化による事業規模拡大

ここでの集約・協業化の対象業者は「事業継続意欲のある事業者」である。現在の内航海運事業者を区分すると図5-7.のとおりであり、これらの区分のうちのaとbに含まれる事業者で集約・協業化を進める。

 

図5-7. 内航海運事業者の区分と集約・協業化の方式

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これまで、運輸省は内航海運の構造改善の柱として「集約・協業化」をかかげて、その推進を指導してきた。運輸省の考え方は次のとおりである。

 

<運輸省の見解の要旨>

現在の内航海運の産業措置を改善するためには、中小零細事業者を中心とした転廃業や合併・協業化を強力に進め、ある程度の船腹の供給調整が自己のグループ内で弾力的に行え、また、運賃・用船料についても荷主や大手オペレーターと対等な立場で交渉していける構造に変えていくしかないと考える。このことは、近い将来深刻化することが明白な若年船員の確保問題を解決していくための労働条件、職場環境の改善を図る上でも避けて通れない問題である。

また、加えて昨今の金融機関を取りまく状況の大きな変化のなかで、金融機関の今後の貸し出し態度が、従来の船舶本体や引当資格といった物的担保優先主義から各事業者の収益性を重視したものに変わっていくと思われ、内航の安定輸送を確保していく上からも、合併・協業化により経営基盤の強化を図っていく必要性が一層高まっている。

近年の景気低迷と船腹調整事業の解消は、長年かけ声倒れに終わってきた集約化を進めるうえでは逆に追い風とも言え、今後、内航総連や事業者の自助努力に対し運輸省としてもできるだけ支援していく必要がある。

 

 

 

 

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