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また、零細事業者の中には「解撤しても借金が残るだけなので、できない」という者が多いが、これらの事業者の解撤、転廃業を進めるためには債務額が交付金額以上になっている船舶についても解撤が行えるような方策の導入を検討する必要がある。

 

2] 経営全般にわたるコスト削減

運賃、用船料が下がるなかで収益性を確保するためには、コストの削減がぜひとも必要である。事業者アンケートにおいても貸渡専業者の66%、運送専業者の75%、貸渡・運送兼業者の95%が「あらゆる面でのコスト削減を図る」と回答している。しかし、内航運送においては、「海上運送」というその特性から船舶の建造、運航体制、船舶検査等について多くの安全規制が設定されており、他の輸送手段に比べてコスト削減の範囲が限られている。さらに、港湾利用料や荷役料など内航事業者だけの力で削減しにくい費用項目も多い。そのため、一杯船主等においては「もはや人件費を削る以外にコスト削減は不可能だ」という声もきかれる。

しかし、荷主はさらなる運賃の引き下げを求めており、トラック業者との競争に勝つためにもより低い運賃設定が必要となっている。コスト削減のためには事業者の努力が必要であるが、その努力を支援するための行政等の支援も必要である(図5-4.)。この点については「4]事業者の負担を軽減するための規制の見直し」及び「6]集約・協業化による事業規模拡大(規模の経済性発揮)」の項でふれることとする。

 

図5-4. コスト削減の分野

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