日本財団 図書館


表3-1. スクラップ・アンド・ビルド制度から生じる「引当権」のメリット・デメリット

061-1.gif

 

2. 内航海運における規制緩和の動向

1) 規制緩和の背景と経緯

1980年以降、市場経済における競争が世界的規模で強まり、経済効率の向上と高コスト構造の見直しが求められるようになった。さらに、わが国の貿易黒字の累積は規制等の非関税障壁によるところが大きいとする海外からの圧力も増してきた。このような動きに呼応するかたちで、国内からも規制産業に対する批判が高まってきた。

内航海運の船腹調整制度に対する経団連等からの規制緩和の働きかけも上記のようなわが国産業全体の中での規制緩和推進の動きの中から生じてきたものである。特に、経団連は平成3年以降、毎年のように船腹調整制度の見直しを要望し続けている。船腹調整事業見直し要望の主な趣旨は下記のとおりである。

 

不況対策としてスクラップ・アンド・ビルド方式による船腹調整が20年以上も実施されてきた。このため、今日ではスクラップ価格が高まり、参入が困難となる可能性がある。また、このことは内航海運のコスト競争力を低下させる恐れがある。そこでS&B方式について、そのあり方を見直す必要がある、併せて、内航海運事業法に基づくガイドラインとしての適正船腹量について経済的変動に即応して見直す必要がある。当面、解撤比率を引き下げ、スクラップ価格の低下を図るべきである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION