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2] 内航海運組合法の概要

内航海運事業者は、組合を組織して自主的な調整事業、共同事業を行うことが認められている。

現在、全国規模で5つの海運組合および連合会(内航大型船輸送海運組合、全国内航輸送海運組合、全国海運組合連合会、全日本内航船主海運組合、全国内航タンカー海運組合)が設立されており、これら5つの組織の総合調整機関として日本内航海運組合総連合会がある。以下に内航海運組合法の概要を示す。

 

ア. 調整事業

法第8条では、海運組合の行う6種類の調整事業を定めている。それらは、1)運賃もしくは料金、または貸渡料についての調整、2)前項以外の運送条件についての調整、3)運送貨物の引受け数量または引受け方法の調整、4)組合員が配船する船舶の船腹調整、5)組合員が保有する船舶の船腹調整、6)船舶の運航に必要な燃料などの購入数量または価格の調整である。しかもその実施にはきびしい制限がある(法12条)、すなわち上記の調整事業を行おうとする時はその内容、実施の方法等を定めた規程(調整規程)を運輸大臣に提出して許可を受けなければならない。調整事業は「内航海運業者の競争が正常の程度を超えて行われているため、その取引の円滑な運行が阻害され、その相当部分の経営が著しく不安定になっている場合に限る」ときにのみ許可される。

現在は、日本内航海運組合総連合会により内航海運暫定措置事業が行われている。

 

イ. 共同事業

法第8条では、海運組合が行うことができる共同事業を定めている。共同事業は事業資金の斡旋、従業員の福利厚生から調査活動までわたっている。現在では、各海運組合において組合員の経営基盤を強化するべく経営合理化などの指導事業、施設の共同利用を実施しているほか、総連合会レベルでは構造改善を推進するための転廃業助成金、集約合併給付金制度を実施し、また船員確保の推進策として若年者雇用奨励金の交付などの共同事業を進めている。

さらに、内航海運暫定措置事業促進の一環として、内航海運船腹適正化共同事業を実施している。

 

ウ. 独占禁止法の適用除外

海運組合またはその組合員の行為のうち、許可を受けた団体協約、調整事業については独占禁止法の規程は一定の制限のもとに適用されない(法第18条など)。

 

 

 

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