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3] 所有船舶2隻以上の事業者の事例(ヒアリング結果)

 

<事業者の特性>

・所在地…神戸市

・所有船舶…貨物船2隻

・事業形態…株式会社

 

ア. 最近の景況について

暫定措置事業によって船腹量はかなり減少していると思われるが、船腹量の減少以上に貨物が減っているので、需給バランスは回復しない。したがって、運賃、用船料も低い水準のままである。

当社の所有船(2隻)は、セメント専用船と一般貨物船である。セメント船は船そのものが少ないので何とかやれているが、貨物船は貨物減少で苦しい。

 

イ. 集約化・協業化について

アンケートでは「他社や地域の動きを見て検討したい」と回答したが、他社はそうは考えないだろう。会社間ではある程度ビジネスライクに合併や協業化は可能かもしれないが、一杯船主の集約は無理だろう。会社形態であっても実質は個人商店のようなものであり、集約は実現しにくいと思う。一杯船主は親子代々で内航事業を続けてきており、他人の下についたり、他人と手を取り合って事業を行うことをいやがる者が多い。

 

ウ. 内航業界の将来について

当社(私)をはじめとして、「いつでもやめたい」という者は多いと思う。しかし、今やめても借金が残るだけであり、やめると全財産を取られてしまうので、やめられない。借金棒引きにしてくれるのなら、いつでもやめる。

赤字経営で、借金は減らず、今後とも貨物量は増えないと思われるが、船が減ってくれば今よりも少しは良くなるのではないかと思って続けているのだろう。大半の事業者は「あきらめムード」である。

 

 

 

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