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2] 一杯船主の事例(ヒアリング結果)

 

<事業者の特性>

・所在地…兵庫県家島町

・所有船舶…貨物船(199トン、船齢7年)

・経営者…船長として乗船(61歳)

 

 

ア. 最近の景況について

・運航委託が多い(家島全体)。短期の契約なので、貨物がなくなると稼働率が低下し、収入減となる

・赤字が続いているため借金を返す余裕はまったくない(借金3億円)

・公共事業(関空、神戸空港等)による需要増に期待するのみ

 

イ. 事業継続について

・暫定措置事業は、零細な一杯船主を泣かすことになった。事前にもっと話し合いをしておけば、内航船主の財産を守る会による訴訟がおこることもなかった

・転廃業したいが、借金が残るだけだからできない。家島の事業者はほとんどが1〜3億円の借金をかかえている(交付金の単価をもっと高くしてほしい)

・船の老朽化は進むが、リプレースする金がない。どうしたものか考えもつかない

・今はただ景気がよくなって貨物が増え、用船料や運賃が上がるのを待つのみである。

 

ウ. 集約化・協業化について

・家島では協業化の動きはないし、やる気もないようだ。しかし、いずれはどこかの大きな会社へ吸収されることとなるだろう。信頼できる強力なリーダーシップをとる人(会社)がいて、協業しても損しないという確証があるならやろうというくらいの考えの船主が多い

 

エ. 内航業界の将来について

・貸渡と運送の区分は不要である。オペレーターはその仕事内容に比べてマージンを取りすぎる。しかし、現在の貸渡業は荷主と直接交渉したことがないので、オペレーター抜きになると荷主の言うがままになる恐れもある

・いまは、何を言ってもムダという気持ちである

 

 

 

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