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メタノール用地下貯蔵タンク(USTs)は化学的地下貯蔵タンクに分類され、環境保護庁(EPA)による規制に従う。これらの規制によると、1988年12月以降に設置された化学地下貯蔵タンクには二次格納容器と亀裂漏洩検知装置を付属しなければならない。二次格納容器はさまざまな方法で提供されるが、その最も一般的な力法はひとつのタンクの中にもうひとつのタンクを置くことで二重壁のタンクを作るというものである。亀裂漏洩検知装置は両タンク間の空間における漏れを検出する。1さらにタンク残量をモニターする自動システムもあるが、義務的に装備しなければならないものではない。

メタノールと石油燃料との化学特性は異なっているため、ガソリンやディーゼル燃料の貯蔵や輸送に通常使用されるいくつかの材料はメタノールの利用に適していない。M85(85%のメタノールと15%の無鉛ガソリンから構成きれる燃料)で運行するように設計された自動車が最初に導入された80年代後半および90年代初期に、車上搭載の燃料供給系と燃料供給インフラの両者において数種類の材料に適合性の問題が発生した。共通の問題点はメタノールと燃料が触れるいくつかの部品との反応によって生成した残り滓による自動車燃料フィルターの詰まりであった。これらの問題はアルムニウムの溶解およびディスペンサーホースからの可塑剤や充填材(大抵は酸化亜鉛)の浸出に原因があるとされた。これらの問題はニッケルメッキしたアルミニウム部品の利用または鉄や鋼の鋳物で作られた部品との代替、そして可塑剤および充填材の浸出を防ぐホース裏打ち材料への変更によって解消された。

1,5000台弱のメタノール自動車がカリフォルニア、ニューヨークおよびその他の場所においてこれまで10年近く運行され、カリフォルニアにおける100のメタノール補給ステーションや全国のさらに多くの補給所の燃料供給インフラがそれを支援してきた。燃料による汚染が問題とならないようにすること、および燃料の品質が高いレベルで維持きれることを保証する努力が続けられている。燃料補給装置の製造業者はこれらの努力により利益を生み出し、メタノールに十分に適合する広範な種類の装置を提供するに至っている。

この研究において選定された全構成部品は、その製造業者によりメタノールに十分に適合するよう詳細な検討が成されている。これは材料がメタノールに曝された場合に満足のいく使用期限を有することや、材料のいかなる劣化も燃料の品質や性能に悪影響を与えないことを意味する。内燃機関用メタノールおよびガソリン混合メタノールの補給用機器で使用される材料を対象とした試験方法も既に開発されている。2

メタノール業界と自動車業界および政府機関は最近になって、燃料電池自動車用メタノールの燃料仕様を決定するための研究団体を組織している。一方、燃料電池システムの試験においては、さまざまな等級のメタノールと有力な燃料添加物の利用が試されている。これらの努力が統合されることは、燃料電池自動車に供給されるべきメタノール燃料の品質の決定に際して有益となる。

 

 

 

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