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8.0 結論

 

8.1 消滅と移動

 

環境中へ漏洩したメタノールの消滅と移動が3つの概念的な漏洩シナリオのもとで評価された:1)鉄道車両あるいはタンカー・トラックによる輸送中の漏出;2)海洋や河川での輸送中の漏出;および3)メタノール給油所における地下貯蔵タンクからの漏出。これら個々のシナリオにおいて、メタノールはその急速なバイオ分解のため、いかなる環境媒体の中でも存続することはないとみられる。メタノールは水に溶け、この結果、地表水への漏出の場合(シナリオ2)、溶解し非常に低い濃度に希釈するだろう。同様に、地下水のメタノール濃度は漏洩の程度と形態に大きく左右されるが、いったん完全な分解が起きると低い濃度に低下するとみられる。これら両力のシナリオにおいて、メタノールの低い濃度は、広い範囲の地球化学(geochemical)条件の下で容易にバイオ分解されるとみられる。バイオ分解は環境からメタノールを除去する主たるプロセスである。ガソリンに比べ、メタノールはより安全で、より環境にやさしい。ガソリンの漏洩により生じる危険性はメタノールの漏洩により生じる危険性より深刻で、環境により長く存続する(USDOE、1991年)。

 

8.2 メタノール添加物

 

添加物がメタノール燃料の広範な利用のために必要かどうかは現在のところ不明である。燃料資源としてのメタノールの使用に関連するいくつかの潜在的な安全性の問題のため、添加物の必要性が評価される必要がある。生産者は現在、その添加物に関する研究とテストの努力をメタノールの3つの化学的あるいは物理的な特性に絞っている:光度、味覚および色彩。

個々の範疇に関連し、述べられた問題に対応できる一連の化学品の候補がある。しかしながら、これらの化学品はしばしば特許商品という性格を持ち、このためその化学的特性が公表きれていない。結果的にこれらの添加物の消滅と移動に関する詳細な分析は不可能であった。

 

8.3 除去と処理

 

水からガソリン成分を除去するために普通に使用される大半の処理技術(たとえば、曝気、粒状活性炭素)は、他のガソリン成分に比ベ高い溶解度と低いHenry定数のため、メタノールを水から除去することに有効でない。除去のほとんどの場合において、土壌、地下水および地表水においてメタノールのバイオ分解は容易に行われるため、水からメタノールを除去するためのこれらの技術の不具合は重要でない。万が一メタノールが飲料水の水源に影響を与えた場合、処理の実現可能性とコストが場所に大きく左右されるという問題はあるが、高等酸化プロセスが有効であることが証明されている。生物学的処理プロセスは水からメタノールを除去するのに有効であり、高等酸化プロセスからの流水を精製するために次第に利用されるようになっている。

 

 

 

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