日本財団 図書館


シナリオ3:貯蔵/給油施設からの漏洩

3番目の漏洩シナリオは給油や貯蔵施設からのメタノールの漏出を含む。現在、ガソリン地下貯蔵タンク(UST)は漏出検知装置が作動するまでに1分間あたり0.5ガロンもの割合で地中に燃料を漏出する可能性がある;メタノール地下貯蔵タンクは同様の検知感度をもつと考えられている。この結果、メタノールの漏洩はガソリンの地下貯蔵タンクからの漏洩と同様の率でメタノールの給油施設から発生することが考えられる。もしメタノール地下貯蔵タンクがガソリン給油施設の側に設置されていた場合、地中へのメタノールの漏洩は、既存のガソリン汚染プルームと遭遇する可能性がある。1998年の連邦地下貯蔵タンクの改良規定は新規の漏洩発生を大きく減らすだろう;しかしながら、既存のプルームの消滅に関与するメタノール漏洩の影響が検討される必要がある。このシナリオはメタノールの地下水への漏洩の重要な潜在的経路を示している。

 

1.6 環境中での消滅

 

メタノールは環境の中で、草木や微生物および他の生物のさまざまな生物学的作用により自然に発生する(ENVIRON,1996年)。しかしながら、地表水、土壌あるいは地下水へのメタノールの大規模な漏洩は周囲の環境に悪い影響を与える可能性がある。

いったん地表水や土中の環境に漏洩すると、メタノールの消滅は以下のさまざまな環境要因に影響される:漏洩の形態、漏洩の量および影響を受けた媒体の物理的、化学的および微生物学的特性。さまざまな報告書が、さまざまな環境媒体の中でのメタノールの半減期(濃度が50%減少するのに要する時間)の可能性の推定を要約している(表1-4参照)。大気中ではメタノールは比較的急速に光酸化されるだろう;その半減期は3日から30日の範囲である。土壌や地下水の中では急速なバイオ分解により、その半減期は1日から7日の範囲である。最後に地表水の中での純粋なメタノールの漏出の場合、メタノールは急速に消滅すると予想されている;半減期は1日と7日の範囲で報告きれている。半減期に関して、メタノールの比較的急速な分解を示すために、報告されているべンゼンの半減期との比較が行われている。

漏洩シナリオを考慮しないで、表1-4に要約されたデータによれば、メタノールは土壌、大気、地表水あるいは地下水の中には蓄積しないようにみられる。しかしながら、これらの報告された数値が現実的な野外の条件の下で得られたものかどうかは不明である。結果的に、これらの数値は半減期の包括的な程度の序列を示しているもので、メタノールの消滅と移動に関する特定の現場での評価に用いる際には十分な注意が必要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION