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1.5 漏洩シナリオ

米国環境保護庁(USEPA)の要請で作成された年間毒物拡散量(TRI)報告によれば、1992年において、メタノールは産業により環境ヘ漏洩したと報告されたすべての化学品の中で第3位にランクされている(USERA OPPT、1994)。これらの漏洩は主に接着剤製造業者、MTBE生産者、パルプ製紙業者、およびその他化学製品製造業者からのものである(AMI、1998年)。表1-3に示されているように、1992年および1993年における米国のメタノール漏洩は主に大気へのものだった;しかしながら、メタノールの約20%が直接土壌、地下水あるいは地表水に排出されている。環境中に漏洩したメタノールの総量は総生産量の約1%に相当する。

表1-3 米国におけるメタノールの推定漏洩量

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USEPA、1994年a。Zogorski その他、1997年。

大気清浄化法(Clean Air Act―CAA)、水質清浄化法(Clean Water Act―CWA)、および安全な飲料水に関する法律(Safe Drinking Water Act―SDWA)のいずれもメタノールの監視を義務付けていない。このため、大気や水中におけるメタノールの発生に関する国の監視データおよび情報は入手できない(Zogorski その他、1997年)。

メタノールの漏洩と発生に関する限られたデータのなかで、この報告書では3つのメタノール漏洩シナリオをもとに、土壌と水中のメタノールの消滅と移動を評価する。3つのシナリオは以下のとおり:

シナリオ1:タンクローリーあるいは鉄道車両からの漏洩

現在米国に輸入されるメタノールの大半はカナダから鉄道車両により運ばれている。鉄道車両やタンクローリーからの漏洩は砂漠、海岸、あるいは飲料水の水源の近くといったさまざまな場面で起こりうる。1台のタンク車両は34,500ガロンのメタノールを漏出する可能性がある(Perryその他、1984年)。約1,400のトラックの積み荷が毎年カルフォルニアの中で配送されている(CEC、1994年)。

シナリオ2:艀船からの拡散

米国は艀や船舶を使い海外からメタノールを輸入しているため、海洋や河川での漏洩の可能性がある。普通1隻の船舶は45,000トン(13.6百万ガロン)の製品を運び、1999年には96,000トンの(29.1百万ガロン)の船舶が、メタノール輸送用に導入される予定である。

 

 

 

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