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短所

メタノール蒸気改質器は吸熱で反応を伴う。これは熱を必要とすることを意味している。その熱を提供するために、もうひとつの反応器が燃料の一部や燃料電池スタックからの排気ガスを燃焼させることが必要である。さらに、メタノールを蒸発させるために必要な熱はガソリンに必要な熱の約4倍である。

蒸気改質の吸熱の性格とメタノールの高い蒸発熱のために、メタノール蒸気改質器は稼動温度に到達するまで比較的長い時間がかかる。現在のデザインでは動力を生産し始めるまでに30分を要する。考慮されているひとつの解決策は、改質器と燃料電池スタックの稼動準備が整うまで自動車を走行させるためにバッテリー動力を追加することだが、これには複雑性、重量およびコストを伴う。

メタノール蒸気改質器のもうひとつの短所は、燃料に含まれている可能性がある他の物質を反応させられないことである。燃料の中の汚染物質や添加物はシステムを阻害する可能性があり、メタノール燃料電池自動車の最終的なデザインは改質器の入り口にもうひとつの分離あるいは反応段階を必要とする可能性がある。

ガソリン燃料改質器

部分酸化および自己熱改質は燃料電池自動車でのガソリンの転換のための有力なデザインである。部分酸化において、ガソリンは酸素と一酸化炭素を生産するために約摂氏900度の温度で空気中の酸素と反応する。一酸化炭素はそれからさらに水素と二酸化炭素を生産するために水と反応する。残ったすべての一酸化炭素はPROX反応器を使用し転換される。

長所

ガソリンの部分酸化反応は吸熱であり、これはそのシステムが稼働中に熱を解放することを意味している。このため、ガソリン改質器はメタノール蒸気改質器より迅速な始動が可能である。それはまた「燃料に柔軟」であり、このことは天然ガス、LPG、ナフサ、エタノールあるいはメタノールを含む広範囲の燃料を使用することが可能であるということを意味している。加えて、ガソリン・システムはメタノール・システムの約2倍の水素生産し、燃料1ガロン当たりのマイル数で約2倍のマイル数を可能にする。

 

 

 

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