燃料電池自動車のための燃料のオプション
燃料電池自動車の開発の重要な部分は燃料の選択である。2つの有力な液体燃料のオプションはガソリンとメタノールである。両者は業界により開発されているが、どちらがより好ましい燃料か断言することはなお時期尚早である。
液体燃料からの水素
燃料電池は水素で稼動する。最も簡単で最も効率的な自動車のデザインは、車に圧縮水素を貯蔵するものである。事実、ごく初期の燃料電池試験車はその燃料として水素を使用した。
しかしながら、その低いエネルギー密度のため、水素は配送し貯蔵するために非常に高コストである。加えて、自動車社会に水素を配送するために利用できるインフラが今のところ存在しない。
エネルギー庁とArthur D.Little Inc.による研究は、水素の生産と配送のためのインフラは、現在の米国の道路燃料エネルギーの必要量の10%に当たる1日当たり百万バレルの石油に相当するエネルギーを生産するために$1千億以上のコストがかかると予測している。乗用車での水素の使用はまた、対応の必要な安全性の問題を抱えている。
社会に水素を供給する上での問題点は、都市バスや真のゼロ排出自動車が求められている場所にフリート機器を設置するための水素燃料の使用を制限する可能性がある。カリフォルニア大気資源局(CARB)のために作成された最近の評価では、水素は現在あるいは予見できる将来において来用車のための技術的、経済的に利用可能な燃料とはみなされないと結論している。
ひとつの解決策は液体燃料から水素を取り出すことである。そのために必要となるのが改質器であり、これはガソリン、メタノール、エタノールあるいはナフサ等の燃料から水素を生産する装置である。
燃料電池自動車のために3つの基本的な改質器のデザインが検討されている。蒸気改質、部分酸化および自己熱改質である。
蒸気改質器は水素を生産するために燃料を蒸気および熱と結合させる。システムを稼動させるために必要な熱は、燃料や燃料電池スタックの出口からの余剰水素を燃焼させて得られる。