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はじめに

 

この報告書は、「低公害・代替燃料自動車の普及・促進のための調査研究」で行った調査の成果をとりまとめたものである。

我が国では、都市部を中心として窒素酸化物、浮遊粒子状物質等の環境基準を達成できない地域が多く、大気汚染対策は緊急かつ重要な問題となっている。また、地球的レベルでは、産業革命以降の急激な石油燃料の使用によって排出されている二酸化炭素を主因とする地球温暖化問題が指摘されるところであり、この問題への対応も近年特に重要度を増している。

日本がホスト国となった、1997年12月の地球温暖化防止京都会議(COP3)で、温室効果ガスの削減数値目標が京都議定書に盛り込まれ採択され、2008年から2012年頃には、1990年比で日本は二酸化炭素排出量を6%削減する必要がある。

同時に、エネルギー資源の観点からは、石油の可採年数は現時点では43年程度といわれ、アジア諸国の経済発展により近い将来石油需給のバランスが崩れることが懸念されており、石油をはじめとする化石燃料への依存度を低下させる必要がある。こうしたなか、自動車が窒素酸化物等の発生源として大きな割合を占め、また二酸化炭素排出割合で20%を占める運輸部門では、環境負荷を低減する低公害車や利用エネルギーの多様化に道を開く代替燃料自動車導入等による大気汚染への対応が強く望まれている。海外においても、地域、地球環境保全、エネルギー安全保障の観点から、低公害・代替燃料自動車の普及が共通の課題となっている。国情の違いがあるものの、特に先進各国ではこの問題に対し積極的に取り組んでおり、これらの情報を収集し、日本における低公害・代替燃料自動車の普及促進に資する必要がある。

この報告書では、限られた範囲ではあるが、地域・地球環境保全、エネルギー安全保障の観点で、国から地方のレベルにわたる低公害・代替燃料自動車普及促進状況、政策、課題等を調査し、さらに昨今の国際的動向の一端を報告した。このような大きな問題に対する一つの解は無いわけであるが、国、地域の状況に応じ着実に低公害・代替燃料自動車の普及が進められている。これらの情報が、我が国における地域、地球環境保全、エネルギー安全保障に対し役立つことを期待したい。

 

平成12年3月

財団法人 運輸低公害車普及機構

会長 杉浦喬也

 

 

 

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