ガス
中東への依存度が石油に比べて低く、石炭発電よりも温室効果ガスの排出量が少ない天然ガスは、エネルギーの安定供給面ならびに環境面の理由から、日本において最も重要なエネルギー源のひとつである。天然ガスの大半は発電に利用されている。天然ガスとは主にLNG(*液化天然ガス)のことで、ガスパイプライン網が十分に整備されていないため、電力とガスの問題は、密接に関連している。
原子力エネルギー生産の目標達成が確実でないとした場合、エネルギー需要を満たし、環境負荷レベルからしても妥当な天然ガスが、代替手段として考慮される可能性がある。ガスエネルギーをさらに進展させるには、次の2つの課題を克服しなければならない。ひとつは流通網(インフラ)の整備、もうひとつはLNGの供給価格の低減である。ガスパイプラインは日本全体の5%の地域(人口では50%)にしか敷設されていない。一部の小規模なLNG小売業者が、大きな市場シェアをもっている。この報告書では、サードパーティー(*第三者)の介入、安全性および環境面の目標を充実させるなど、様々な政策措置について論じている。
現在の市場では、個々の企業の事業の柔軟性は制約されている。LNG基地にサードパーティーが参画できるようになれば、競争によるコスト低下が期待できるが、もちろん、参画条件や所有元に対する補償を考慮する必要がある。また、ガス価格が設定されるなかでガス市場の発展が阻害されている可能性があることも考えねばならない。例えば、大口消費者の間でガス取引きが奨励されるなどして、市場のプレイヤーの行動にかなりの柔軟性が備われば、ガス市場の効果的な機能は大幅に改善されであろう。
石炭
日本は現在のところ、発電ボイラー用石炭(1997年:6410万トン)、鉄鋼コークス用石炭(6530万トン)の世界最大の輸入国であり、世界の石炭輸入の28%を占めている。日本では、ボイラー用石炭が主に発電用に利用されており、ボイラー用石炭供給の物理的供給の安全確保が不可欠である。発電用の燃料価格を低下するような圧力が、日本のエネルギーの安定供給目標に対抗するものか否かの問題が起きる。当面、アジア太平洋地域の市場は、スポット市場が価格決定の際の有力な材料となるなど、欧州市場に沿って発達する可能性があるが、欧州市場と違うのは石炭が発電用に利用されるという点である。この特徴から、契約はスポット市場価格に連動した価格による長期的なものとなり、安定供給に対する明確な追加費用が必要で、スポット市場の物理的規模が制限される。
日本の石炭業界は小規模だが、一部は安定供給の問題から、同時に石炭技術の開発支援の手段として、手厚い補助をうけている。輸入石炭の競争圧力を受けて、日本国内の石炭生産量は減少しつづけ、1960年代初めの5500万トンから1997年度には397万トンとなっている。