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6.2.:これらの提携オプションの実現を図るためには、様々な障害を乗り越えていかなければならない。モデル分析では必ずしもみることができなかった障害も数多く存在する。例えば、日韓の民族意識、歴史的な国民感情、商習慣の違いなども、提携するとなれば乗り越えなければならない壁である。両国の海運規制および石油製品関税なども提携のためには検討を要する課題となる。

 

6.3.:アジア地域の石油製品市場規模は欧州と同程度となり、特に中国の潜在需要(4)および先進的公害対策を進めている日韓両国を併せ持つ東アジア市場は規模的にも品質的にもアジア地域において、最も重要な地域となっている。原油タンカーのダブルハル設計・新造船(5)(6)が進みつつある中で国際的海上物流の革新(7)も念頭に置きつつ、本市場におけるより高効率な石油製品供給システムを実現していく為の試行が緊急に求められていると考える。

 

6.4.:本稿では、1997年における国際原油・石油製品市場価格を前提として日韓石油産業の提携が改善し得る経済効果に限定して分析している。本提携の、当分析に含まれていない重要な波及効果として、アジア向けの中東原油価格の国際的公平化も考えられる。第2章で説明た様に、近年特に生じつつある中東原油価格の欧米向に対するアジア向けの相対的高水準状態は経済的には年間90億US$程度にも達しており、この現象を是正する方法としての日韓石油産業連携という位置付けも重要であり、分析した日韓石油産業にとっての経済効果を大きく上回る、日韓を含むアジア全体の経済効果を生み出す可能性もある。日韓石油産業の提携は、アジア地域の将来的エネルギー安全保障協力に資する方策の一つという観点を含めた国際競争力を回復(8)(9)・確保する方向で今後さらに検討して行く必要があると考える。

 

【参考文献】

 

(1) 内航海運日本内航海運組合総連合会編集:「内航海運」 平成元年7月20日発行,pp-26,pp-32, 1989

日本経済新聞:平成11年4月29日発行

(2) 1] 22面記事「内航タンカー運賃競争激化で先安感」2] 23面論考「グローバリテイーの時代に」ダニエルヤーギン氏

(3) 三村眞人、小林照夫、富田功「貿易と港」成山堂書店平成10年7月28日発行, p-216, p-232

(4) (財)日本エネルギー経済研究所エネルギー計量分析センター:「アジアAPEC地域における石油製品の需給構造ならびに貿易フローに関する動向調査」平成9年3月発行, p-86-87

(5) 山口勝治、山ノ内博:二重船殻構造モデルタンクよりの油流出-II 日本航海学会論文集平成6年3月 90号, p-185, 1994

(6) 海事実務研究会編「図説海事概要」海文堂出版株式会社平成5年5月10日発行, p-40

(7) 近藤宏一、賞雅寛而、林尚吾:北極海航路を孝行する原子力商船の経済的可能性 日本航海学会論文集 平成9年3月96号、p-139, 1997

(8) 宮本清四郎:「海運産業経済論」海文堂出版株式会社昭和60年4月10日発行, p-44

(9) (財)日本エネルギー経済研究所:「石油セキュリテイに関する論点及び石油市場機能に関する調査」平成10年3月発行, 1] p-4-5 2] p-24

 

 

 

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