この変化は、実質的には海洋法の2つの重要な展開から生じたものである。第一は、国連海洋法条約を通して、特に距離基準に関する大陸棚の新たな定義の登場である。第二は、海底と海柱の両方が含まれる200海里排他的経済水域レジームの設立である。200海里距離が大半の場合の大陸棚領有の法的根拠となっているので、地理学あるいは地形学的要因は境界線画定の大半の場合には当てはまらないように思われる。沿岸国の距離が400海里を超えない東シナ海では、沖縄トラフのような海底の地球物理的特徴は、は今日の国際法の下では境界線画定には影響を与えないであろう。地質学的あるいは地形学的要因の重要性の低下とは対照的に、ここで検討しているケースでは地理学的要因の重要性が高まってきているようである。例えば、中日間の沿岸の長さの顕著な差異は、境界線画定は適切に反映されねばならない。沿岸諸国が排他的経済水域を将来設立する際には、大陸棚境界線とこの水域の境界線が異なる理由はない。
最近の事態の展開
1992年6月30日、中国国家沖合石油公司(CNOOC)は外国の石油会社を招聘し、東シナ海の2つの特別海底地域である北アンカレッジと南アンカレッジの利用権競売を行った。Bohai湾、黄海、南シナ海とは異なり、東シナ海は外国の参加には閉鎖的である。しかし、北アンカレッジは韓国が領有を主張してきた地域に入り込んでおり、係争中の地域は全部で24平方キロメートルに及ぶ。しかし、最終的に、最大の問題はこうした領有権主張の重なり合う地域の規模ではなく、これらの地域の下に存在する可能性のある石油である。これらの地域およびその近辺には豊富な石油とガスが潜在すると言われている。
考察
韓日共同開発協定は50年間有効であり、その後はいつでも破棄できる。大規模な探査は1979年に開始された。現在までのところ、多数の油井が採掘されたが、石油はまだ発見されていない。石油探査を促進しようという動きが中国にあるが、同地域での大規模な石油発見の見込みは薄い。中国が領有権を主張している地域と韓日共同開発地域の重なる部分は、適用すべき法的原則をめぐる相違から生じるというよりも、ベースポイント測量をめぐる相違から生じるように思われる。