日本財団 図書館


【激増する海賊犯罪は日本の業界にも大きなショックを与えた。[大井埠頭、川崎汽船“せとブリッジ”の画像]川崎汽船では二機あるレーダーのうち一機を海賊専用とし、さらに船室へのドアにはふたつの鍵をつけ、見張りも強化した。そして危険地域を航行中は24時間放水を続けるという。】

「船のほうはこれだけ対応しているよと。あなた方に対して対策していますよという見せしめですね。そういう効果しかありません」(川崎汽船・田村和雄船長)

【業界最大手の日本輸船では船の位置を確認するシステムに一工夫して、海賊アラームをつくった。位置確認の信号がとぎれると、自動的に担当者の携帯電話に警報が届く。】

「一番上が船名で、消息をたった日付、時間、それとポジションが表示されます」(日本郵船社員)

【先月29日には日本財団が開発した新式の海賊警報装置も公開された。船縁に張り巡らせたワイヤーに触れると、警報が鳴り、ライトが点灯するシステムだ。簡単に手に入る材料でできるだけ安くつくることを目的とした[画像]。】

【保険会社も次々に海賊保険を開発する。住友海上の商品は船が行方不明になった場合、240日間損失を保証するというもの。事件が続き関心は高い。】

「弊社の保険契約者数で約100ぐらいですね。昨年の10月に起きたアロンドラレインボー号の事件以来はかなり数が増えていると」(住友海上・渋谷謙一郎主任)

【こうして保険会杜のパンフレットには物騒な名前の商品が並ぶようになった。日本政府も国際会議を開き、関係国と対策を検討する予定だ[ASEAN会議で海賊対策を提言する小渕首相の画像]。】

「4月の下旬に東京で海賊会議をしたいと思います、共同パトロール、あるいは共同開発というような共同行為が入る。それとともに開係国の海上治安勢力を強化する援助もいるのではないかと」(海上保安庁 荒井正吾長官)

【マラッカを通る貨物は日本が2割以上を占め、世界で最も多い。しかも日本のエネルギーのおよそ7割がここを通過する。マラッカはまさに日本の生命線なのだ。】

「海賊事件の最悪のシナリオは大型タンカーがシージャックされ、事故を起こすケースです。原油が流出したり、座礁するようなことがあれば、狭いマラッカ海峡は寸断されてしまうのです」(インドネシア海軍西艦隊インドロコス司令官)

【海賊の恐怖はすでに私の身近に迫っている。】

 

<スタジオ>

 

島田アナ 海賊シンジケートですけれども、いろいろな国の人たちが混ざっているみたいで、大ボスは中国人だ、とインドネシア海軍の方が言っていましたけれども、すごい組織ですね、これは。

島ディレクター もう一度見ていただきたいんですけれども、ゲーリーという人物は三つの事件に姿を現しています。そしてプトラという人間はアロンドラレインボー号、テンユウ号事件、二つの事件で燃料補給の担当をしています。ですから、彼は完全なプロの海賊だと言えます。こうした実行部隊の上に幹部がいるわけですが、インドネシアで逮捕されたウォンという人物はその幹部だったわけです。ウォンの組織で見ると、彼と同列の人間たちがマレーシア、香港、台湾にいます。そしてこれを取りまとめているのが中国人の大ボスである。ですから大ボスは、自分は安全圏に身を置いて、命令だけを出すというかたちになっているわけですね。

宮田アナ マラッカ海峡というと、石油を運んだりしても、非常に日本にとっても大事なところですよね。そこが襲われるということは、もうこれから対策をきちんと考えていかないと、もっと大きなことが起こりかねませんよね。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION