第4部 海賊問題
第26章 「1999年版 国際海事局 海賊白書」(英語)2
概要とWebsiteの紹介
海賊の実態については最近日本財団が世界の資料を収集し、ホームページwww.nippon-foundation.or.jpに掲載しているので、ここでは簡単に国際海事局の「海賊白書」の概要と情報入手方法を紹介するにとどめる。
第1に、国際海事局International Maritime Bureau(IMB)は、国際商工会議所ICCの下部機関でロンドンにある。海賊関係のキーマンはJayant Abhyankar氏である。アビヤンカー氏は最近日本のテレビ局の取材などで映像と声が紹介されることが多いが、海賊に関する年報を英語で発行している。サイトは、www.ic.-ccs.org、電話:+44 20 8591 3000。
IMBはマレーシアに海賊センターPiracy Reporting Centerを設置しており、「海賊110番」Anti Piracy HELPLINEのメールは、E-mail: ccskl@imbkl.po.myである。
第2に、表題の白書の内容であるが、48頁あり、1999年通年に発生した全世界で285件の海賊行為actual & attemptedが、いつ、どこで発生したかが報告されている。さらに、被害の程度(シージャックされた、あるいは、行方不明になった)、あるいは乗組み員への危害(人質、殺人、行方不明)、海賊の武装の程度(ナイフ、銃器)、被害船の船籍(これは1991-1999年:ちなみに日本船籍は1997年に1件あるのみ)、襲われた船の種類(タンカー、コンテナ船など)などの数表11枚が10頁にわたり掲載されている。さらに、分析の部では、最近の傾向と、国別に主要事件に関する個別事件のケースがナラティブで報告されている(11-16頁)。日本人船長らが襲われ漂流、救助されたことで話題となったアロンドラ・レインボー号事件は「インドネシア」のセクションに報告されている。PIRACY NEWSセクション(16-22頁)は国別の動きについて、たとえば「中国で海賊に死刑判決」などのトピックスを掲載している。23-47頁には、285件の事件の一覧表で「いつ、どこで、船が襲われ・どのような被害がでたか」が簡潔に示されている。最終頁(48頁)には東南アジアの地図と海賊の発生件数の国別内訳が示されている。
第3に、「1998年版 海賊白書」は潮匡人氏の抄訳により「うみのバイブル第4巻」(72-82頁)に掲載された。また、アビヤンカー氏は1997年11月に東京での「第11回国際シーレーン会議」に”Piracy and Armed Robbery Against Ships”を発表している。(事務局長)
1 Piracy and Armed Robbery Against Ships, Annual Report, 1999, ICC International Maritime Bureau, London, January 2000.