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「参考資料」

 

軍艦外務令

 

昭和三十一年五月二十七日海軍省達第八五号

昭和二十二年五月三日自然消滅

 

第一条 本令ハ帝国軍艦ノ外国領海又ハ公海ニ在ル場合ニ於テ運行スヘキモノトス

 

第二条 本令ニ於テ軍艦ト称スルハ海軍旗章条例第十三条第十四条第十八条第十九条ニ依リ旗施ヲ掲クル艦船艇ノ一又ハ二以上ヲ謂ヒ指揮官ト称スルハ軍艦ノ最高指揮官ヲ謂フ

 

第三条 軍艦ハ主トシテ左ノ特権ヲ有ス

一 軍艦ハ外国政府ノ干渉ヲ受クルコトナシ若シ外国政府強テ之ニ干渉ヲ加ヘムトセハ兵力ヲ以テ拒ムコトヲ得

二 軍艦ハ外国ノ法権ニ服従セス従テ外国ノ警察権裁判権臨検捜索等ノ艦内ニ行ハルルコトヲ許サス

三 軍艦ハ外国ニ対シ納税ノ義務ナシ

四 軍艦ハ主権ニ伴フ所ノ尊敬ト礼遇トヲ受クヘキモノトス

 

第四条 軍艦ニ搭載スヘキ普通ノ船舟ハ軍艦ト同一ノ特権ヲ有ス

 

第五条 帝国軍艦国法、条約又ハ国際公法ニ於テ明カニ軍艦ノ入港ヲ禁止セラレタルコトナキ外国港湾ニ入ラムトスルニ当リ其ノ国ヨリ之ヲ拒絶セラレタル場合又ハ他国ノ軍艦ノ入港ヲ許シ帝国軍艦ニノミ之ヲ許ササル場合ニ於テハ指揮官ハ之ニ対シテ一応異議ヲ述ヘ直ニ之ヲ海軍大臣ニ具申スヘシ

 

第六条 軍艦不時ノ危難ニ遭遇シ止ヲ得サル場合ニハ外国政府ノ于メ軍艦ノ入港ヲ禁止セル港湾ト雖之ニ入ルコトヲ得但シ此ノ場合ニ於テ指揮官ハ其ノ国ニ対シ事後承諾ヲ求ムヘシ

 

第七条 軍艦ハ外国港湾ニ出入ノ際及其ノ碇泊中ハ其ノ地ノ港則及衛生規則ヲ遵守セムコトヲ要ス

 

第八条 軍艦ト外国ノ官庁又ハ公署トノ公事ノ通信ハ必ス其ノ地ニ駐在スル我外交官又ハ領事官ヲ経由スヘシ但シ外交官又ハ領事官其ノ地ニ在ラサルトキハ直接ニ通信ヲ為スコトヲ得

 

第九条 軍艦外国ノ港湾ニ到着セハ指揮官ハ速カニ其ノ地ニ駐在セル我外交官又ハ領事官ニ来航ノ趣旨ト碇泊予定期トヲ通知スヘシ

 

第十条 指揮官ハ其ノ部下ヲシテ其ノ地ノ官吏又ハ人民ニ対シ粗暴ノ挙動アラシムヘカヲス又其ノ法規慣例ニ遍背シ宗教風俗ヲ蔑視スル辱地方官民ノ感情ヲ傷フ如キ行為アラシムヘカラス

 

第十一条 指揮官ハ換練儀式又ハ其ノ他ノ事情ノ為軍装シタル兵員ヲ外国ニ上陸セシメ又ハ砲銃射撃ヲ其ノ領内ニ於テ施行セムトセハ予メ其ノ地ノ所轄庁ノ承認ヲ受クヘシ

 

第十二条 指揮官ハ其ノ部下ニシテ逃亡シタル者アルトキハ之カ逮捕及引渡ノ手読ヲ我領事官ニ請求スヘシ若シ其ノ地ニ領事官駐在セサルトキハ其ノ地ノ所轄庁ニ之カ逮捕引渡ヲ請求スルコトヲ得但シ之ヲ強請スヘカラス

 

第十三条 帝国軍艦内ニ起リタル犯罪ハ軍艦ノ公海ニ在ルトキト外国領海内ニ在ルトキトヲ問ハス犯罪者ノ帝国臣民タルリ外国臣民タルト又其ノ犯罪ノ性質如何ニ拘ラス一ニ帝国ノ法律及彼我ノ条約ニ依り之ヲ取扱フヘシ

 

第十四条 指揮官ハ其ノ部下ノ者帝国ノ法律又ハ外国ノ法律ヲ犯シ其ノ地又ハ其ノ地碇泊ノ船舶(其ノ船舶ノ何レノ国ニ属スルヲ問ハス)内ニ在ルコトヲ知ラハ相当ノ手続ヲ経テ其ノ地ノ所轄庁ニ之カ引渡ヲ請求スヘシ但シ之ヲ強請スヘカラス

 

 

 

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