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既にハワイ沖では、日本・中国・フランス等が、探査活動を許可されている。本格的な開発を始めるには、採掘技術などの開発が必要であり、実際の開発は21世紀とされているが、各国は陸地部分での資源が少なくなる事態に備えて、この深海海底の資源に期待を掛けている。

現在のところ、国連海洋法条約の精神が生かされれば、人類の共通の財産としての深海底の鉱物資源が活用されるものと思われるが、実際に資源が枯渇してくる将来、理想的に採取が進められるかどうか、十分注目をしていかなければならないだろう。

 

(11) 公海

 

海洋自由の考え方は、17世紀頃から次第に広く支持されるようになったが、これと併行して領海制度の方も普及し、海洋の自由は領海を除く公海の自由として、国際法上も確立された。しかし第二次大戦後、主として第三世界の国々による広大な海への一方的な権利拡張が主張されるようになり、第一次から第三次海洋法会議における法案審議の過程で、公海自由の原則は守られたものの、それが適用される公海の範囲は、海岸から200海里以上の沖合に退くことになった。

即ち公海の範囲は、何れの国の排他的水域、領海若しくは内水又は何れの群島国家の群島水域にも含まれない海洋と言うことになったわけである。

公海自由の原則には、二つの意味がある。一つは、何れの国の帰属からも自由であるとする帰属からの自由である。これは領海の主権の原則に対応するもので、公海の自由の基礎である。二つめは、帰属からの自由から派生して、使用(活動)の自由が生じるが、国連海洋法条約では、「特に次の自由が含まれる」として、6項目の自由を明記している(第87条)。

1]航行の自由

2]上空飛行の自由

3]海底電線及び海底パイプライン敷設の自由(但し、第6部大陸棚の規定に従うことを条件とする)

4]漁獲の自由(但し、第7部公海第2節公海における生物資源の保存及び管理の規定に従うことを条件とする)

5]科学的調査の自由(但し、第6部大陸棚及び第13部海洋の科学的調査の規定に従うことを条件とする)

6]海洋構築物を建設する自由(但し、第6部大陸棚の規定に従うことを条件とする)

これらの規定は「特に」と明記されていることでも分かる通り、条文に記載されている以外の自由が認められないと言うことではない。条文上は明らかにされていないが、国連海洋法条約の審議の過程で論議があり、例えば海軍の演習、兵器実験及び情報収集等の自由は、他国の利益を損なわないよう配慮することを条件に、適法とされている。

 

 

 

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