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(2) 基線

 

基線とは、領海や排他的経済水域などの範囲を定めるための基準となる線である。基線には、通常の基線と直線基線とがある。海岸線が平坦な場合には「沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線(潮が最も引いた時の線)」(第5条)を通常の基線として使用する。「海岸が著しく曲折している」場合や「海岸線に沿って至近距離に一連の島がある」場合には、「適当な地点を結ぶ直線基線」を引くことが認められている。

わが国では、海岸部の曲折した地形や海岸付近の多数の島の存在により、低潮線が複雑に入り組んでいる場合が多いため、今回の関連法令の整備により九州や三重などを始め、領海幅を3海里に制限している津軽海峡や対馬海峡などの特定海峡も含め多くの沿岸部に直線基線を採用することにした(施行は平成9年1月1日)。この直線基線の採用により、領海(内水も含む)の面積が38万平方キロメートルから43万平方キロメートルに拡大することになったのである。(26頁第3図参照)なお、中国や韓国もこの直線基線を採用している。

 

(3) 内水

 

国連海洋法条約は、「領海の基線の陸地側の水域は、沿岸国の内水の一部を構成する」と規定している(第8条)。但し、海洋につながる河川や湖沼は領土の中に含まれ、海としての内水の適用を受けるものではないと考えるのが妥当である。

国連海洋法条約は、沿岸国の主権は、「領土及び内水をこえその海岸に接続する水域で領海といわれるものに及ぶ」と規定している(第2条)。領海と内水の法的地位の基本的相違は、無害通航制度の有無にある。内水では、外国船に対する無害通航を認める義務を負わない。つまり、外国船舶は沿岸国に無断で基線を越えて、内水に入ることは出来ないのである。

 

(4) 領海

 

領海の幅を国際法上明確に定めたのは、1982年に採択されたこの国連海洋法条約が初めてである。国連海洋法条約では、領海の幅を「基線から測定して12海里を超えない範囲」(第3条)で定めることが出来るとしている。1海里は1852メートルであり、12海里は約22.2キロメートルである。

沿岸国の主権は、領海のみならず「領海の上空並びに領海の海底及びその下に及ぶ」ものである(第3条)。但し、領海における沿岸国の主権の行使は、無害通航の制度によって制限を受けている。

無害通航権は、全ての国の船舶が領海において享受することの出来る権利である。

 

 

 

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