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うみのバイブル2000(上)通巻第6巻

 事業名 公海の自由航行に関する普及啓蒙
 団体名 国際経済政策調査会 注目度注目度5


この報道に接した時軍艦がついに現われたかというのが、筆者の率直な感想である。「ついに」と書いたのは、筆者は早くから、東シナ海における中国の海底石油探査・試掘が実施されており、日中中間線(後述)のすぐ中国寄りの大陸棚では石油の採掘が着手されているところから、新しい探査・試掘の場を求めて遠からず日本側の海域での探査・試掘のための海洋調査が行なわれ、海洋調査船の次にはいずれ軍艦がやってくるとみていたからである。そして5年前からわが国が主権的権利を主張する中間線の日本側海域に中国の海洋調査船が入ってきて、堂々と海洋調査を行い、また石油の試掘を実施し自噴を確認して引き揚げた。1996年から1999年まで4年間に、中国海洋活動は着実に実施され、その海域および目的はほぼ明確になってきている。

海洋調査船の次に軍艦が現われることは、南シナ海・南沙諸島の先例から十分予測できた。同海域では1980年代に入るととともに、中国の海洋調査船による南沙諸島の海洋調査が実施され、それの進行とともに同年代中葉になると、中国海軍艦隊が大規模な軍事演習を繰り返し、あるいは西沙諸島で海軍陸戦隊が上陸作戦・対上陸作戦を実施するなど、それまでの領有権の主張に留まっていた中国が、実効支配を示唆する言動をとるようになった。そして1988年春中国はベトナムに近い南沙諸島の6ヵ所のサンゴ礁、ついで1995年2月初頭にはフィリピンが領有を主張するサンゴ礁を支配下に収めた。

このように中国が南シナ海に進出して着々と実効支配を固めつつある現実を見ていて、筆者は恐らくそれほど遠くない将来、多分10年程度後の今世紀末から来世紀初頭にかけて東シナ海に進出してくるであうろと予測し、わが国の政府、マスコミ、国民がこうした中国の動向に関心を示すことを期待して、以来この十数年間、機会あるたびに、これまでに知りえた事実をまとめ、紹介してきた。以下はそれらを概略したものである。

 

2:中国海軍の南沙群島進出

 

2.1.:先ずベトナム海域、ついでフィリピン海域に進出

 

1988年3月、南シナ海の南沙群島にある小さな岩礁(赤瓜礁)とその海域で、中国海軍とベトナム海軍が交戦した。軍事衝突の契機は、ベトナムが領有権を主張する南沙群島の6ヵ所のサンゴ礁に、中国が「中華人民共和国」の領土であることを示す主権標識と海洋観測所を建設したことにあった。(第2図参照)海洋観測所といっても実際には海軍警備所であり、満潮になると海中に没してしまうような岩礁に、鉄パイプとアンペラで作られた高床式の掘立小屋である。ついで鉄骨の支柱で支えられた8角型の組み立て式の建物が建てられ、さらに2〜3年のうちに軍艦島のような恒久軍事施設が建設された。

ついで1990年代に入ると、中国の海洋調査はフィリピンが自国の領土と主張しているパラワン島の西側海域で実施され、1995年2月までにミスチーフ礁(美済礁、第2図参照)に、1988年に中国がベトナム南部沖合海域のサンゴ礁に建てたものと同じような組み立て式の建造物を建設した。軍事施設を建設しているとのフィリピンの抗議に対して、中国は「漁民の避難施設である」と回答した。遠からず永久施設が建設されることが予想されたが、1998年末から1999年初頭にかけて複数の永久施設が建設された。(後述)

 

 

 

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