現状では日中間に相互信頼関係が構築できていませんから難しいでしょうけれど、もし将来、日中関係が政治的に安定してきた場合、日中共同開発によってこの問題を解決していくという可能性はありますでしょうか。
平松 共同開発という場合、南シナ海もそうですが、中国は自分が領有権を主張したところでやるわけです。ここは俺のものよ、一緒にやりましょうということですから、日本に対してお金を出しなさい、技術を出しなさい、一緒にやって、出たものは山分けしましょうということですから。
笹島 たとえば日中半々で採掘費を出して、フィフティ・フィフティで分け合うということになりませんか。
平松 そうはならないでしょう。そのために軍事力を行使してそこを押さえているわけですから。そのためにああやって異常なことをやって確保しているわけですから。これは俺のものよ、一緒にやりましょう、ということでしかないわけですね。
もっと話は飛躍しますが、タリムが開発するときに一番怖れたことは、日本はタリムにお金を投じなさい、そこの石油を日本に持ってくるのは大変だから、それは私が使いますよ、その代わり、東シナ海の石油はあげますよ、というんじゃないかと思っている。それぐらいのことは言いかねないですから、それを一番怖れたんです。幸いタリムは何かわけがわからなくなっていますけれどね。要するにタリムの開発というのは、あそこを開発するなんていうことは、まずペイしないですよね。持ってくるなんてなおさらペイしない。そんな話に乗るのはアホですね。僕は当時から言っている。あんなもの絶対に乗ったら駄目よと。一番怖れたのは、その代わりに東シナ海を一緒にやって、その分を分けてあげると。これは俺のものよ、と言われるのが、僕はいちばん怖れていた。そういうことにはなりませんでしたけれどね。
74:日本は中間で分けるというのが正しいと押し通せばいい
日本がこんな態度だったら、さっき木村先生の考え方を紹介したけれど、あれが正しいかどうかわからないけれど、地質構造的にいけば、明らかに東シナ海の大陸棚の上に日本は乗っているわけですから、中間で分けるというのが正しいと押し通せばいいわけです。
川村 問題点が非常に明らかになったと思いますが、次の予定がつまっておりますので、本日の討議はこれで一応うち切らせていただきたいと思います。本日は大変ありがとうございました。このプロジェクトは三年目で、これで平成11年度6回目、最後のヒアリングが終わりました。(拍手) この事業の主催団体でありますPSGの加藤さんから一言ご挨拶をお願いします。
75:椎名素夫国際経済政策調査会理事長挨拶(加藤周二理事)
加藤 主催団体の国際経済政策調査会理事の加藤です。本来であれば私どもの理事長の椎名素夫が御礼を申し上げるべきところですが、所用があって伺うことができませんので、私がご挨拶をさせていただきます。(拍手)