実は私はこういうようなプレゼンテーションをするときも、できたら海上自衛隊の取った写真やビデオを使いたいということで、使っていいですかというと、それは困るという。現場の人達は「これは海幕に全部報告してあるから、海幕からもらってくれ。あなたが訳を話せばわかるはずだ、やりなさい、私たちも支援しますよ」とおっしゃるんだけれど、海幕に行くと「そんなことは知らない」と言う。まず、「知らない」と言いますからね。私は自分で集めた材料を持っていって、これこれ然々だからこれは中国側の明らかにしている材料でこういうことがわかるんだから、海上自衛隊は上からパトロールしているからわかるはずである。わからないということは、何もやっていないということですか、とまで言いましたけれどね。それでも出してくれない。
先程お見せした、いよいよ本格的な石油開発ができるというときには、現場の責任者は、これは国民に知らせて欲しいということをやったんです。それではといって、実は先程見せたもののひとつは、海上自衛隊が撮ったものです。私はかなりの材料を海上自衛隊にはただで提供していますから、それだけやっているんだから、今回はちゃんと公表しろといって、あれは海上自衛隊が撮ったものです。
70:日本の対中姿勢そのもの:自衛隊が守ってくれなければ石油探査はできない
宝珠山 先程の鉱区設定の問題のところで触れられたように、どこからかわかりませんが、強い力が及んでいるということなんだと思うんですね。日本の対中姿勢そのものなんです。そこのところが非常に弱いというのは、ことあるごとに現場にはあるわけです。
平松 ですから荒木さんのうるまもやりたいけれど、ここまで来たら怖くてできない、むしろ安全を守って欲しいと。日本の自衛隊がちゃんと守ってくれなければ、仮に石油探査、試掘をやってもいいよといっても、それは怖くてできない。それはわかって欲しい、それを書いて欲しいと言われているんですけれどね。
宝珠山 海賊問題の時も同じですね。
川村 そのとおりですね。さて、議論も熱くなってきたところですが、残念ながら時間もなくなってきたので、もうひとかた何かどうしても、という方がありましたら。
秋元 一言だけ、国連海洋法条約は、ここにおられる大内先生とか恵谷さんの専門ですが、排他的経済水域における資源調査、環境調査につきましては、管轄権を持つ沿岸国の許可が必要であります。ただ日本側は日中中間線ということですが、中国側は大陸棚に中国の主権的権利があるということで、意見が分かれているというのが中国側の見解です。
岡崎 それなら抗議しなければ駄目だな。
秋元 昨年、新聞報道によりますと、外務省の方は、小渕さんが「日中の海を紛争の海にしてはいけない」と言ったとか、あるいは外務大臣が調査船の活動に正式に抗議したというようなことが伝えられて、因果関係はわかりませんが、この夏以降は、海洋調査活動は減少しているのではないかと思います。私は外務省関係者でもなんでもありませんけれども。
岡崎 国連海洋法条約では調査活動もいけないんですね。