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何か具体的なことが起こって、抗議した方がいいんじゃないかということが言われたら、外務省、防衛庁、政治家は、どういう観点でその判断をするのでしょうか。

岡崎 抗議は外務省です。たださっきから伺っていて、私がわからないのは、200カイリ経済水域の中で、領海外のところで調査活動をした場合は、海洋法で抗議の対象になるのかということですね。経済活動なら明らかに抗議の対象になるけれど、調査活動の場合はどうでしょうか。おそらく、今のお話を聞いていると、法律的には抗議の対象にならないんだろうと思う。法律的にならないものは抗議できないということだろうと想定しているんです。新しい海洋法のテキストを読んでいないからわかりませんが。

ただその場合に、不快感の表明ですね。不快感の表明をするかどうかは法律問題ではなくて政治判断の問題になるんですが、それはしなければならないというものではないから、政治的なインパクトがあるから、いろいろなことを慮ってびびるんでしょうね。これは全部推定です。

 

67:地震探査ひとつでも、海上保安庁と外務省と自衛隊の考え方が違う

 

平松 国際法というのは非常に難しい問題ですが、法律問題は突き詰めていくとわけがわからなくなるし、解釈がいろいろあるんですね。今の問題については、明らかに海上保安庁と外務省と考え方が違いますね。だからどちらが正しいかわかりません。さっきも話したように、アテランテ号で中国が明らかにエアガンを使って地震探査をやっている。資源調査をやっているということに関して、海上保安庁はこれに対して抗議しなければいけないという。それに対して外務省は、そこまで特定できない。一般的な海洋調査だったら、岡崎さんがおっしゃるように抗議はできないと。では自衛隊はどう見ているかというと、自衛隊は非常に微妙で、その辺ははっきりしてくれないですね。個人的には、とんでもないですよ、とおっしゃるけれど。

 

68:抗議は防衛庁の仕事ではない

 

岡崎 自衛隊の仕事ではないですよ。

宝珠山 海上自衛隊に言われても、他の防衛庁のどこに言われても、できません。通報することをやっているということですね。先程の情報収集というのは、この地域、P3Cを含めてやっている。それをオープンにするということはないんですけれど、その情報は然るべきところに届いているわけで、それが条約上の抗議権があるのか、不快感の表明になるのかどうかという事実のデータの提供ですね。

 

69:国民に知らせるための写真やビデオすら出そうとしない海幕

 

平松 ですから私も注意してものを言わないといけないとつくづく感じますが、現場の人たちは、とにかく現場で起きていることは全て海幕には報告しています。

 

 

 

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