ASEAN地域フォーラムというのは所詮そんなものだということを、私はできたときから言っているんです。それは何もないよりはいいけれど、あまり過大な期待はしない方がいい。一番必要なのは共通の利益は何かということをちゃんとする。東アジアでさえ、韓国と日本と台湾のあいだで共通の利益がないじゃありませんか。
64:南沙諸島:中国は個別撃破してくるだろう
高瀬 南沙諸島なんですが、初めてお話を伺ってわかったんですが、ベトナムとかフィリピンとか中国とかいろいろな国がちりばめるようになっていますね(平松 モザイク模様になっていますね)。そうしますと、最初は中国しかやっていないのかなと思っていたんですが、中国はあとから割り込んできたんですね。そうすると面としての南沙諸島を支配するということはすでに不可能ということなのか、それとも一個ずつひっくり返していって全部取ってしまおうという意図なのか。
平松 いまのところやっていることを見れば、とにかくあのあたりの領有を主張している国で大きな国はベトナムとマレーシアとフィリピンです。台湾は俺のものだという意識がありますね。台湾が独立したら話は別ですが、台湾が持っている限りにおいては中国のものだと思っているから、別にいまは手をつけなくてもいいということですね。そうするとあとはブルネイですが、これは相手にしなくてもいいですね。ということで最初に出て来たのはベトナムに出て来て、その次はフィリピンかマレーシアかどっちかだと思っていた。私はアメリカがいるからマレーシアに先に行くと思っていたら、うまいことにアメリカがいなくなってくれたから、それではいただきますよといってポッと出て来た。いずれはマレーシアですね。
そういう流れで見ていくと、マレーシアは明日は我が身ですから、おっかなくてしょうがないので、マハティールは「中国は脅威ではありません」ということをさかんに言って、南シナ海の問題は当事者で話し合いましょう、アジアの問題に外国は入ってくるな、特にアメリカは入ってくるな、と執拗にアメリカを排除しようとしている。それは中国にとって大いに結構、といってマハティールと仲を良くするわけです。
それをやっていても、いずれはあるときにボーンといって、マレーシアにどかっとやられたらどうしようもない。ある日突然裏切られると思いますね。あとはどういう時期を狙って出てくるかということです。すべてのところにとにかく唾を付けて、領有を主張する。そうするとあとの国は動きがとれないわけですから、やろうといってもやったらすぐにお前は何をしているかとやられるわけです。
65:東シナ海鉱区設定図:役所はみな逃げてたらい回し
今日は話しませんでしたが、東シナ海で石油が出るということがわかったのは1968年ですね。それが1969年に公表された。それで尖閣の領有権が具体化してくる。その時に日本の経済界でもここを掘ろうという話が出てきた。それを始めていたら、その時に中国が突如、おまえら何をしているかといって出て来た。私はやくざと同じだと言っているんだけれど、そういうやくざまがいの行動で、おまえたちは何をしているか、そこは俺のものだ、何をやっているか、と一発言われて、やめちゃったんです。